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雷華の騎士 ~やがて支配帝(ハーレム帝)と呼ばれる男~  作者:
過去編 神童フレデリクの始まり
28/37

1話 フレデリクとお姉ちゃん

フレデリクは帝暦235年生まれなので今話は3歳の頃となります。

~帝暦238年9月 ローゼンブルク帝国ルミヤルヴィ辺境伯領リンノイトゥス~


 ルミヤルヴィにはローゼンブルクで最も大きい病院が存在した。それがザシャの経営するローゼンブルク病院だった。

 幼児を預ける施設が出来たのは3つの頃、それまではザシャがフレデリクを背負って仕事をしていたという。フレデリクは母の仕事ぶりを背負われて見ていた。

 母が周りの医師たちにどこの血管が切れると大量の出血をするか、体のメカニズムを説明しながら丁寧に神聖魔法を使い患者を癒していく。母の下には帝国中の医療魔導師たちがやって来て教えを乞いて来ていたらしい。

 3つになるまでフレデリクはそれを最も間近で見て育っていた。


 そんなフレデリクも仕事場に入れなくなったのは保育施設が出来た訳では無く、弟子になる為にやって来たヒルデガルトが面倒を見ることになったからだ。

「お姉ちゃん、だっこ」

「フレデリク君は甘えん坊さんね」

「えへへー」

 大貴族の令嬢で母の従兄の娘、フレデリクにとってはハトコになる姉がその頃家に来ていた。

 9歳ほどの少女であったが、既に11歳から始まる義務教育課程を9歳でパスしている神童と呼ばれており、より高みを目指すために母の所に留学しに来ている。

 物心ついた頃には居たのでフレデリクにとっては綺麗で優しい大好きなお姉ちゃんだった。


 当時、フレデリク、ヒルデガルト、ザシャの3人を美人3姉妹などと呼ばれていたのだが、一名は男であるが、3歳の愛くるしい幼児の性別を見分ける事は難しかった。


 ヒルデガルトにくっついていたフレデリクは待合室で一緒に母の昼休みを待っていた。

 病院の待合室でフレデリクは色んなものに興味を持っていた。

「ヒー姉ちゃん、お耳に青いのついてるの、なーに?」

 フレデリクは興味を持つと何でも質問する子供だった。

「イヤリングのこと?これはね、コンラート様からの贈り物なのよ」

「コンラート様?」

「私の婚約者ね」

「こんやくちゃん?」

「将来結婚する相手って事よ」

「ヒー姉ちゃん、結婚しちゃうの?」

「そうよ。ヴァイスフェルトの領主様になる人だから。とっても賢くて素敵な人なのよ」

「そーなんだ。ウチに来る人?」

「うーん、リッ君の家には来ないかな。私が嫁ぐから」

 うるうると目を潤ませるフレデリクはぎゅうとヒルデガルトの裾を掴む。

「やーだー。ヒー姉ちゃん一緒が良い」

「フレデリク君は甘えんぼさんねぇ」

 苦笑するヒルデガルトだった。

「帝都に行くことになるけど、もしかしたらリッ君もその頃は一緒に帝都に行くかもしれないわね」

「そーなの?」

「ヴォルフ様、凄い人だから、その内帝都に呼ばれると思うのよ。そしたら近くでまた暮らせると思うわ」

「ホントー?」

「うん。ホント」

 呼ばれる事は無かったが、ヴォルフを近衛騎士団長として配置したいと考えていたのは皇帝陛下であり、医療系貴族などは新たな医療技術を独自で考えだし推し進めて医療の最高峰となっているザシャを中央へ呼び戻すべきという声も上がっている実情があった。

 実はヴィルヘルムに貴族教育を進められてヴォルフは随分と騎士としてマシな人間になっている頃だった為、ヒルデガルトも思ったより怖くないという印象だった。


 だが多くのフェルトブルクの直臣貴族達はヴォルフを畏れ、断固として賛成せずに皇帝の意向さえも寄せ付けなかった。帝都を暴力によって制圧したヴォルフを完全に怖がっていたからだ。


 フレデリクはヒルデガルトと手を繋いで待合室の方へと向かう。

 幼いフレデリクは見知ったお祖母ちゃんを見つけて駆け寄る。

「いたいいたいなの?」

「そうなの。どうも朝の卵が当たっちゃったみたいで……」

 お腹を押さえて病室で前かがみに座っているお祖母ちゃんは苦しそうに答える。

「ぼくしってるよー。おなかいたいいたいは、わるい子がお腹で悪さしてるからめーなの」

「普通のヒールでも治りますが、ヒールの掛け方を間違えると治らないので正しく魔法を使わないといけないんですよ。苦しいですけどもう少しで順番ですからお待ちください」

 フレデリクは無邪気に患者を心配し、ヒルデガルトは病状を軽く説明して頭を下げる。

「ありがとうね」

 わしゃわしゃとフレデリクは撫でられる。

「でもおかーさん言ってたの。そういうわるい子を魔法で包み込んで分断するまほーがあるって。えーとね。いたいのいたいのとんでけー。<りかばりー>」

 フレデリクはお祖母ちゃんのお腹に手を当てると鮮やかな白い光が輝く。

「え」

 周りの大人達はギョッとしてその光景を見る。


「ひー姉ちゃん、疲れたー。だっこしてー」

「え、えと。フレデリク君、今何したの?」

「いたいのいたいの飛んでったー?」

 フレデリクは本割した顔でお祖母ちゃんに訊ねる。お祖母ちゃんは痛みがなくなった事に気付き驚いた顔をしてた。

「ええ、ありがとうね」

「良かったー」


 すると看護師の女性がやって来て次の患者を呼ぶ。お祖母ちゃんは首を傾げながら病室へと行くが既に治っていたらしい。




***




 その夜、フレデリクが寝ている頃にザシャは病室で会った事をヒルデガルトから聞いていた。

「そんな事があったの?だからアルミラのお祖母ちゃんが治っていたの?」

「分かりません。だって、<リカバリー>の魔法は神聖魔法LV5。毒や寄生虫、あるいは異常のある個所を小さい膜で浄化し損傷した小さい傷を治す魔法。ある種、医療系魔導師にとって一流かどうかの分かれ道になる魔法を3歳の子供が使えるなんて……」

「皇族の血は英雄や聖女とかの血が入ってるからなぁ。実際、フリードリヒだって、ザシャ程じゃなくても優秀だっただろ」

「皇族は英才教育を受けてるから当然だけど、別に私、あの子に神聖魔法の英才教育をした覚えは無いわよ」

 ザシャは皇族を過剰に才能があるとぼやく夫に対して、呆れたように物を言う。

「英才教育と言われますが……フレデリク君、小さい頃からずっと研修に来てる医者達に説明するザシャ様の背中で見て来たんですよね」

「覚えていないとは思うけど………。そういえば何でーどうしてーってよく聞いてたわね。まさか本当に理解していたというのかしら?」

「分かりませんが魔法の構造を理解して魔法を何度も見ていたとしたなら覚える事ってあり得ませんか?」

 ヒルデガルトはフレデリクが魔法を直感的に覚えていたのではないかと尋ねる。

 ヒルデガルトも幼い頃は何で?どうして?と親に訊ねていて、妙に頭が良い事から、親には邪険にされ気味悪がられていた過去がある。

 5歳の頃に出会ったヴァイスフェルト家のコンラートとよく気が合い、そのまま婚約へと進んだ。今でも文のやり取りをしている仲良しの婚約者だった。


「どうかしら。今度、領主様にお願いして神眼の鏡で確認した方が良いかもしれないわね」

「もしも既にあったら天才ですね」

「ヒルダに言われる程頭が良いとは思えないけども。使い方によっては神聖魔法は危ないしね。寄生虫による病気の処置でヒールを掛けたら逆に悪化する事だってあるのよ。大きい才能ほど扱いは難しいんだから」

 ザシャは困ったように不安な顔をする。

「まあ、大丈夫だよ。あの子は割と臆病だから。悪い可能性があると、なんでも尻込みする部分があるからな。それに医療の才能なら専門家が母親にいるんだからどうにでもなるだろ」

 ヴォルフは肩を竦める。

「私もコンラートもそうだから、稀に出るヴァイスフェルトの血筋が出たんじゃないかって思っちゃって」

 ヒルデガルトは天才だった。親は気味悪がられて孤独な幼少期を過ごし、ザシャに面倒を見て貰う事で救われた。実の両親よりもヴォルフとザシャ夫妻の方がよほど懐いていた。

 帝都から離れているザシャの家は何かと周りの悪意から守るのに都合が良かったのだ。


「そうねぇ。まさかうちの子がとは思わないけど」

「まあ、ヒルダちゃんと違って頭の良さは感じないなぁ、フレデリクからは」 

 うーんと腕を組んで首を傾げるヴォルフだった。


「そんな事無いですよ。コンラートの姪っ子にジルフィアちゃんって子がいるんですけど、あの子もリッ君によく似てました。あの子も賢い子だったみたいでコンラート様に懐いてましたね。私と同じで、両親が根負けする位質問するみたいで。コンラート様やザシャ様がいなければ私もずっと寂しくしてたと思います。フレデリク君は私達に似たタイプだと思いますよ」

「親って大変なんだ。フレデリクの疑問に答えるだけの知識を調べる必要さえ出るのだから」

 ぐてぇとヴォルフは項垂れ、そこまで一生懸命子供に付き合うヴォルフという生真面目な父親を持ったフレデリクは果報者だなぁとヒルデガルトは苦笑する。自分の父親はそんなに付き合ってくれなかったから尚更だ。だから子育てに余り関わらなくても、フレデリクは父を尊敬しているし大好きだ。

 両親に毛嫌いされて、自身も両親に愛想を尽かしてしまった自分とは違って。

「コンラート君といいトビアス君といい、優秀な子が大貴族を背負うようになる頃にはお兄様ももう少し良い社会を作れるようになるのかしら。うちの子には無理させたくないわ」

 ザシャは溜息を吐く。


 帝国は稀代の天才ヴァイスフェルトの血族を取り込んだことで皇族にもよくあらわれるのだ。歴史に残らないだけで天才の片鱗を見せる皇子はたくさんいる。

 特にヴァイスフェルト家は頻繁に現れる。名前が挙がるのは少ないが、賢い子供が出るのは風物詩のように出て来る。帝国の平均知能指数を上げているのはヴァイスフェルトという噂があるほどに頭がよくなる人間の遺伝子を持っていた。

 だから皇族に優秀な人間が現れると言うのも決してヴォルフの買い被りでもないのだった。

ピヨッ!

あとがき担当のヒヨコだぞ。

あ~か~い あか~い 赤いヒヨコのピヨちゃん

ダブルドラゴン 命のタスキ~

ヒヨコ業界における力と技のピヨちゃんとはヒヨコの事だ!


さて、過去編という事でフレデリクの過去が描かれるぞ。まあ、直に戻るのだが、フレデリクが神童と呼ばれ出してからアレクサンドラと仲良くなる切っ掛けのお話だな。フレデリクの過去はチラホラやらないと、読者も何で●●なの?と首を傾げよう。

その補完の為の過去編だ。ピヨちゃん補完計画発動だな。


では次回予告だぞ。次回は『ヒヨコチートが最凶すぎて異世界のやつらが相手にならないんだが』でお送りするぞ。分かるぞ。ヒヨコは大体、畏れられてラスボスに逃げられるからな。

それではまたな!


時に、余談であるが聞いて欲しい。何と、この作品、注目度のランキングで38位に入った事があるんだ。驚くべき事だ。

妬ましい。妬ましい。妬ましい。

ヒヨコ本編は一度もランキングなんて入ったことが無いのに。もう一つのヒヨコシリーズ作品でさえ日間異世界(恋愛)部門でランキング300位以内に入った事があるのに!?

メインが蔑ろにされて、スピンオフが活躍だと?そんな馬鹿な!?

なので、もしも本作を気に入ってくれたら、関係ないけど『最凶ヒヨコ伝説』に行って★を入れて欲しいぞ。この作品は良いから、ヒヨコに★を。

行き先のショートカットは…

※別作品で自分の主演作品売り込み禁止及びヒヨコ自粛令発動

※次回予告はヒヨコの出鱈目です。本作品とは一切関係ありません。

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