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リリャの魔法学園  作者: 夜て
黄金の翼
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草原と太陽

 馬から下りて広大な草原に降り立った。草花をかき分けて煽られた風が身体を撫でては吹き抜けていった。

 この小さな体ひとつには、揺るぎない野心が詰まっており、それはこれからの死を覚悟した日々を乗り越えるための原動力となっていた。私は勝つために、より速く、より強く、より遠くに飛べるようになるためここにいた。


 すべてはゴールデンウィング杯で優勝するため。


 しかし、そんな私の高い目標を達成するためには、どうしても独りでは限界な部分があることをすでに私は考えていた。それらの問題は、修行を実施するまえに把握していたため、あらかじめパートナーを呼び、その欠点を補ってもらおうと思っていた。


 それが、私の背後で大荷物を軽々と背負ったひとりのお姉さんがついて来ていた理由でもあった。

 ゴワゴワした金髪の髪に浅黒い肌は彼女が頻繁に長いこと野外で活動していることの証明でもあった。身長も百八十はゆうにあり、その肉体も女性とは思えないほど逞しく鍛え上げられていた。それでいて彼女の顔つきはとても明るくまさに真夏の太陽のように燦々と輝いており、そんな溌剌とした彼女の雰囲気が常に周りに活力を与えているようなそんな一緒にいるだけで元気がもらえるような明るいお姉さんだった。

 そんな彼女の名は【ブロティーナ・ルーペ】といい白魔導協会専属の白魔導士だった。今回彼女には私の飛行訓練のサポート役として同行してもらっていた。


「ここら辺にしようか、ここならきっと誰も通らないエリアのはずだから、邪魔も入ることはない、好きなだけ飛べるだろうね」


 ブロティーナさんは馬から下りると、草原に生えていた数少ない木に私の分も含めた二頭の馬をロープでとめていた。


「いろいろと、ありがとうございます」


「なに、まだまだ礼には及ばないさ、こっちは大金で雇われた身だ、これから全力で尽くさせてもらうよ、なんせ、私は金払いのいい人はたとえ子供でも甘く見ない質だからね」


 私は黄金を使って彼女のおよそ三か月を買っていた。彼女を紹介してもらったのは、エリザ騎士団の同じく白魔導士のルサさんだった。彼女に相談したら適任者がいるということで、ブロティーナさんを紹介してもらったとい経緯があった。


 ブロティーナさんが、大荷物を降ろすと、その男のような逞しい腕ですぐさまテントの設置に取り掛かった。彼女は手慣れた手つきでテントを二つ張ると、次はすぐに昼食の準備を始めてくれた。


「まずはお腹を満たしてからじゃないと、飛べないもんね」


 手慣れた手つきで料理をしてあっという間に簡単な具材を挟んだパンを作ると、二人で食べながら軽い雑談を交わした。


「ゴールデンウィング杯、私も何度か見に行ったことがあるよ。やっぱり、空を飛ぶって迫力があるよね、いやあ、私も一度でいいから自由に飛んでみたいよ」


「ブロティーナさんは飛行魔法使えないんですか?」


「あいにく、これっぽっちもね、だけど、身体強化系の魔法は得意だから、飛行魔法ほどじゃないけど、自由に跳んだり駆けたりはできるよ」


「身体強化の魔法が使えるんですね」


「そうだよ」


「ちなみにそれって、他の人にも使えますか?」


「あぁ、残念だけど、付与の方は苦手で、自己強化系の魔法しか使えないんだ、ごめんね」


「いえ、全然いいんです。ただ、ちょっと修行で使えないかなって思って…」


 私の思考はすでにすべてを修行で使えるか使えないかで判断するようになっていた。


「あ!それなら、ずっといい魔法があるよ、こっちは身体強化じゃないんだけど、よく私もトレーニングで使うやつなんだけど、こっちなら他人にも掛けられるから、やってみる?」


「それはどんな魔法なんですか?」


「えっとね、弱化(デバフ)系の魔法なんだけど、簡単に言ってしまえば身体の動きを鈍くする魔法かな」


「鈍くする…」


 その魔法が私の修行にどんな効果があるのか一通り頭の中で検証していく。


「基本的な弱化系の魔法なんだけど、これの対抗手段でもある強化(バフ)系の魔法無しで、身体を動かそうとすると何倍も負荷が掛かるんだ。この負荷が私の筋肉増量トレーニングの時にはとっても役立っているんだけど、どうかな、リリャちゃんも飛行中にこの負荷を加えることで、いつもよりも力が出せない状況で飛ぶってトレーニングは?」


「なるほど、それはとってもいいアイディアかもしれないですね!」


「でしょ!まあ、でも弱化の魔法だから掛け過ぎで怪我しちゃうかもだから、ほどほどに掛けてあげるけど」


「え?でも、怪我しても、ブロティーナさんが治してくるから大丈夫なんですよね?」


「え、あぁ、もちろん、そうだけど…」


「じゃあ、遠慮なく、ガンガンかけてください。よし、ご飯食べ終わったら、私、すぐに飛ぶのでお願いしますね?」


「わ、わかった」


 食事を終えると、私は、早速飛ぶ準備に入るのだった。


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