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まさかwebで ミステリー大賞に リベンジする日が来るなんて!  作者: ふりまじん
ここは私がミステリー大賞にリベンジする事になるのだろうか?

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土蔵3


「なんだか、面白い話になって来ましたね。」

ナツメはそう言ってため息をつく。

「悪かったわね。でも、仕方ないじゃない。窓とハシゴが出てきたんだもん。そしたら、克也を思い出したの。」

「克也さん?ですか。」

克也は私がミステリー大賞を書くきっかけになった悪友である。

「うん。奴よ。アイツが前にファミレスで自信満々に披露したのよ。なんだっけ、そうそう、何か物語のネタになった事件があるに違いないとかなんとか言って、で、スマホを検索しだして、えっらそうにこの事件を探してきたのよ。」

ああ、思い出しても漫画みたいだわ。ハンチング帽になんかチョッキを着てさ、なんだかレトロな格好で自信満々に出してきたのが、リンドバーグの事件なのである。

本当に、全く、そんなに簡単にポンポンとこの話のネタは尽きないのである。

「リンドバーグ…『翼をあれがパリの火だ。』で有名な、1927年大西洋単独無着陸飛行に成功した、あのチャールズ・リンドバーグですわね。」

「説明みたいなコメントありがとう。ふふ。」

私は平成の時代に『リンドバーグを知ってる?』と友達に聞かれてこの答えを言ってヒンシュクを買った事を思い出した。平成でリンドバーグと言ったらアーティストの事だった。

「いいえ。それにしてもよく、『リンドバーグ愛児誘拐事件』を探しましたね。確かにこの事件では

1932年3月に2階に1人で寝かされていた嬰児のリンドバーグジュニアがハシゴを使って侵入した犯人に誘拐されたという事件でしたね。」

ナツメの言葉に調べた事をもい出していた。

この事件は、世紀の謎として色々な憶測を生みながら話題になったと記憶している。

でも、『悪霊』に関わるまでは身代金のサスペンスとしか思ってなかった。

ここにきて、まさか乱歩作品との関連性を疑うことになるとは。

「でも、この事件は赤ちゃんの誘拐で女性の猟奇殺人ではありませんわ。」

ナツメの言葉に克也の悠然とした言い訳を思い出す。

「そうね。でも、ここで第二の偶然が登場するの。この リンドバーグ愛児誘拐事件 はね、アガサクリスティーの名作『オリエント急行殺人事件』のモチーフにもなっているの。」

「『オリエント急行殺人事件』といえば、確か、あの有名な大陸横断の豪華特急オリエント急行で殺人事件が発生するのでしたわね。確か、雪で立ち往生している列車内で大富豪のラチェットが12の傷跡とともに亡くなっていたのでしたわね…複数の傷跡の立ち往生の列車の密室殺人…あ。」

と、納得し始めたナツメに私も苦笑した。

「そうなのよ。あの事件をベースに、イギリスと日本の有名な作家が、似たような殺人事件を考える。そんな事ってあるかしら?」

と、言いながら、でも、半信半疑の自分も感じる。

「でも、乱歩先生は『悪霊』のモデルの事件の事なんてコメントしてませんわ。」

「そうね、あくまでもこれは仮説。でも、それでいいのよ。これが私の調べたい事なんだもの。そして、読者に小銭を出しても知りたいと思わせないと、出版社の人は動いてくれないわ。」

私の言葉にナツメは合点する。

「そういう事ですのね!ふふ。そうして、謎を作り出してコンテストにエントリーする理由を作るのですね。確かにこの方法なら読者も納得のエントリー動機がある上に上を目指さずに楽しく創作できますわね。」

「楽しくないわよ。情けないわ。ほんとに、いつまでも完結しない物語を何度もコンテストに出し続けてそれでちょっとのPVを稼いでいるんだもの。情けないわ。でも、そうしてでも、今年もクリスマスに本をプレゼントされたいのっ。もう、それしか、私、WEBで小説書いてる動機がないんだもん。」

ああ、切ないわ。でも、仕方ないわ。今年も頑張って100ポイントを貯めて書いたい本があるんだもの。それを読者からのプレゼントと称してクリスマスに嬉しがるのよ。子供の頃に憧れた『若草物語』の4姉妹のように。つましくても幸せアピールしていたいの。本当に痛いんだけど。

「いいじゃないですか。読者からの参考資料のプレゼントなんて少女小説のヒロインみたいで…確かに中年がやっていると思うと、情けないですけど。」

「仕方ないでしょ?まあ、そろそろ、コンテストになんでも参加するのはやめようかなって思い出してるんだけれど、参加をやめて、もし、一年で100円も稼げないと思うと、たまらない気持ちになるんだもん。って、そんなことはどうでもいいのよっ。それに、それに、よ。ここでなんとか向井編の答えを書いて完結したら、少しはPVが増えるかもしれないのよ。そうなったら、今年は豪華にコミックを買えるかもしれないんだもの。頑張るの。」

ああ、情けない。けれど、やっぱり頑張りたいわ。クリスマスに本が貰えなくても完結ボタンは押したいの。

「ええ、頑張りましょう。きっと物語の完結を見つけることは出来ますわ。ワタクシがサポートするのですから。ええ。安心して私に任せてください。私、これでも、ミステリにはうるさいのですもの。」

ナツメは私より燃えていた。それを見ながら少し面倒くさいな、とも思う。

頑張ってどうにかなるようなら、9年も底辺を彷徨ってなんていないんだから。

「ありがとう。まあ、この辺りから、私も本気で『悪霊』の参考資料を調べたくはなったのよ。」

そう、江戸川乱歩の『悪霊』を乱歩先生自ら『抜け殻同然の文字の羅列』と言ったらしいから、初めから筋立てはしていない可能性がある。でも、物語を、連載を書いていたのだ。

私だって、未完にしようと思って書いてはいない。そして、書く前に結末は考えて書く。

ましてや、推理小説で、自分の頭で考えた事件なら、初めに考えるのは犯人でなければいけない。

犯人が事を起こさなければ物語は始まらないのだから。


その、1番大事な犯人が、抜け殻同然だというのなら、それでも、物語を描いていたというなら、脳死状態で物語を書いていたって事?

そんな事をするためには、何か、現実の事件なり、模倣できる何かがあったに違いないのだ。

運命に流されるように土蔵の2階の屋根にハシゴをかけた祖父江進一を見ながら、私はそう考えたのだった。


それにしても、複数傷の密室殺人が想像できるような記事が、当時『リンドバーグ愛児誘拐事件』にあったのかどうか、果たしてクリスティーは何を思って複数傷の密室殺人を思いついたのか、知りたいわ。



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