小林青年
いきなりの若者の登場に混乱した。そして、その細身の青年に軽く会釈をし、山臥を見た。
「ああ、外でTELしてたら知り合いになっちゃってね。」
と、山臥は青年に私たちのテーブルに座るように促し、大きな声で従業員を呼び止めて生ビールを頼む。
「あ、僕は、新年会があるのでお酒は…」
か細い声で青年が言うと、山臥は肩をすくめてコーラを追加する。
「どうしたの?この青年は?」
落ち着いた所で私が聞いた。山臥はのんびりとワインを楽しみながら、
「派遣仲間だよ。玄関で立っているのを見つけてね。声をかけたんだ。」
と、言った。
「え?いいの?」
私は心配になって青年を見た。私の向かいには壮年と青年の対照的なフリーターが並んでいた。
「あ、大丈夫です。」
青年はか細くそう言った。
「あ、彼の名前は小林くん。測量会社で知り合ったんだ。」
山臥はふふんと笑う。
「小林 海夜です。」
小林青年はぺこりと頭だけを下げて言った。
「カイヤ?今風な名前だね。どんな感じを書くの?」
「海の夜と書きます。」
「海の夜で海夜かぁ。最近は洒落てるね。」
「ああ、彼は宝石をイメージして名付けられたそうだよ。」
山臥に言われて小林は慌てた。
「あ、それは…なんか恥ずかしいです。」
小林は照れていたが、私はその珍しい名前より、小林という名字にときめいていた。
明智小五郎デビュー100周年。新時代の小五郎制作1番乗りは果たせなかったが、2025年最後の月に小林青年を手にしたことに浮かれた。やはり、ラノベの主人公は若い方がウケがいい。
「恥ずかしくなんてないよ。カイヤナイトでしょ?綺麗な石よね。」
私はそう言った。結構、マイナーな感じの石だけれどたまたま調べていて良かったわ。
「はい。9月生まれなんです。叔父ががミネラルが好きで名付けてくれたので。」
と、言われて一瞬、麦茶とかサプリメントを思ったがグッとそれを飲み込む。
「ああ、鉱物愛好家ね。私の知り合いにもいるよ。なんか、東京である大きなイベントとかに行ってる。」
当たり障りなく答えたつもりだった。が、小林はそこに食いついてきた!
「え?凄いですね。いいなぁ。」
小林はナチュラルに喜んでいる。さすが、測量なんて地味なバイトをするだけはある。
「そうなんだ。まあ、この辺りも自然があるから、いい石が取れるところもあるんだよ。」
知らんけど。と、心で呟きながら昔、友から聞いた話を言った。
「そうですよね。今、働いている所でもいろんな話を聞くのですが。水晶とかは割と見つけるって言ってました。」
小林は本当に嬉しそうである。
「そうなんだ。所で、何か食べる?」
私が小林にメニューを渡すと彼はそれを断った。まあ、そうだろう、もうすぐ、本当の忘年会があるのだから。
「若いんだから食べられるだろ?遠慮しなくていいんだぜ。」
と、言いながら私が睨んでいるのを感じて山臥は無理に進めるのをやめた。それから思い出したように話し始めた。
「そういえば、小林くんもオカルトが好きなんだよ。で、卯月さんの話を聞きたいっていうから待ってる間連れてきたんだよ。
ああ、小林くん。この人は卯月さん。あの人気のサイト 小説ヤロウ⭐︎で活動しているUFOについて執筆している作家さんなんだ。」
山臥の言葉に、私の心臓は爆発しそうだった。
やめてくれ、小説ヤロウはガチでアニメ化している作家がいるから、一般人は誤解するじゃないか!
ついでに、まだ、UFOの話は書いてないからっ!!!!(//∇//)




