4話 精霊
ーー襲撃まで一年六ヶ月
ーその日の夜
「さっき先生から聞いたけど、ユキお前好きな人できたんだって?」
家に戻るとパパンは笑顔でそう訊いてきた。
あ、あの野郎、余計な部分だけをパパンに伝えたな。
「い、いや違うよ父さん、先生の勘違いじゃないかな」
「そうなのかぁ?」
パパンはニッコニコで俺の顔を覗き込んできた。
うーん、パパンのこと好きなんだけどこういうところは、シンプルに治してもらいたい。
「好きな子くらいできるでしょ、そんなに追求するなんて良くないよ」
ママンがそう言って助けてくれた。
やっぱりママンはいい人だ、何としてもあの襲撃者から助けないとな。
ま、まぁパパンもついでに助けてやろう。
ー翌日
「そんじゃあユキよ、魔闘士の基礎から教えていくぞ」
「はい!お願いします」
「いいねぇ、元気があるのは大変結構だ、まぁまずは俺が軽く手本を見せるからちょっと見ててな」
「はい!」
この道場の裏庭には大岩が沢山ある。
どうやらシンラ先生はそれを使いたいらしく、俺達は裏庭へとやってきた。
「うん、これでいいか」
先生は裏庭にある1番大きな岩をペシペシ叩いて頷いた。
「ユキ、魔闘士ってのはな魔力を使って魔法を使う魔術士とは違って、精霊を使って魔法を纏っているんだ」
「はい」
「だから魔闘士に求められるセンスってのは、魔術的な才能とかじゃなくて、精霊に好かれやすいかどうかなわけ」
「はい」
「そんでな、精霊には5大属性があって火、水、土、風、雷の中のどの精霊と自分の相性がいいのかを知ることが初歩なんだわ」
「はい、ちなみに先生は何属性の精霊と相性が良いのですか?」
俺がそう訊ねると、先生はニヤッと笑った。
「俺か?俺はな全属性から好かれてんのさ」
「ぜ、全属性ですか」
「うん、あ、でも安心しろよ、別に全属性から好かれないと大会で優勝できないとか、センスが無いとかそういうわけじゃないから、俺がかなーり特別ってだけね」
シンラ先生はそう言ってピースをしてきた。
やっぱり先生はかなり強いのか。
おそらく俺の想像を超える強さを持っているんだろう。
襲撃時にいてくれたらとても心強い、時期が近くなったら俺が未来のことを知っている事とか全部話してでも、仲間にしたいな。
「な、なるほど」
「ま、言うは易し、とりあえずこの大岩割ってみるから、それからユキの基礎練に入ろうか」
「はい!」
ちょっと待て、今割るって言ってなかったか?
いやいやさすが無理だろ。
見た感じ高さだけでも5メートルくらいあるぞ、俺のいた現代でこの規模の大岩とか重機とかいろいろ使ってやっとどうにかできるレベルだよな。
魔闘士ってそんなに強いのか。
「そんじゃ始めようか」
そう言うとシンラ先生は大岩の前に立った。
一体何が始まるんだ。




