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53話 闘技訓練館

図書館を後にした俺達は次の施設へ向かっていた。


目的地は――闘技訓練館。


戦力強化施設。


技の習得。


レベル上げ。


模擬戦。


スキル練習。


連携確認。


領地経営も大事だ。


だが。


ここは魔界である。


最終的に頼れるのは戦力だ。


『戦う力がなきゃ領地も守れないからな』


ゴブリン村を作る。


領民を増やす。


発展させる。


そのためにも領内の敵対反応は排除しなければならない。


俺達は石畳の道を進む。


しばらくすると。


巨大な建物が見えてきた。


『おぉ』


思わず声が漏れる。


闘技訓練館。


名前から道場みたいな場所を想像していた。


だが違った。


巨大だった。


横幅も広い。


高さもある。


まるで競技場だ。


コロシアム。


そんな言葉が頭に浮かぶ。


建物の外壁には剣。


槍。


盾。


弓。


様々な武器の紋章が刻まれていた。


「かっこいい〜♡」


モエが目を輝かせる。


リリンも見上げていた。


「おっきいです!」


『だな』


魔工房。


図書館。


農園。


どれも大きかった。


だが。


戦力施設というだけあって迫力は一番かもしれない。


入口へ近付く。


すると。


ゴゴゴゴ……


重厚な扉がゆっくり開いた。


中から冷たい空気が流れてくる。


そして。


俺達は足を止めた。


『……広っ』


中には巨大な訓練場が広がっていた。


剣術エリア。


弓術エリア。


模擬戦エリア。


障害物エリア。


さらに奥には闘技場らしき円形フィールドまで見える。


完全にテーマパークだった。


戦闘専門の。


『せっかくだし試してみるか』


俺は訓練館の案内板を見る。


────────────────


・技習得室


・模擬戦場


・スキル練習場


・連携訓練場


────────────────


『ちょうど三人いるな』


モエが首を傾げる。


「なにが〜?♡」


『体験会だ』


『全員別の施設を試す』


「おぉ〜♡」


リリンも手を挙げた。


「やります!」


ゼフィーも優雅に頷く。


「構いませんわ」


まず。


リリン。


技習得室。


モエ。


模擬戦場。


ゼフィー。


スキル練習場。


そんな感じで振り分ける。


『じゃあ行ってこい』


「はーい♡」


「いってきます!」


「承知しましたわ」


三人が別方向へ歩いていく。


俺は少し離れた場所から見守る事にした。


まずはリリン。


技習得室。


部屋へ入った瞬間。


床の魔法陣が光る。


ピコン♪


────────────────


適正技能を検索します


────────────────


『お?』


次々と文字が表示される。


火球。


魔力操作。


魔力圧縮。


魔力探知。


完全に魔法特化だった。


リリンが目を丸くする。


「いっぱいです!」


すると。


部屋の中央に光の的が出現した。


「おぉ〜!」


リリンが目を輝かせる。


『なるほど』


『練習場か』


リリンが火球を放つ。


ドォン!


的に命中。


すると。


────────────────


習熟度上昇


────────────────


「ほんとです!」


「じょうたつしました!」


嬉しそうにぴょんぴょん跳ねていた。


『ゲームのスキル訓練場みたいだな』


と表示された。


『便利だな』


経験を積む場所らしい。


次。


モエ。


模擬戦場。


円形の闘技場へ入る。


すると。


光のゴブリンが出現した。


「うわっ♡」


「敵だ〜♡」


だが。


本物ではない。


模擬戦用らしい。


「よーし♡」


「ガウ〜♡」


モエが手を振る。


「ガウ!」


いつの間にか付いてきていたガウが駆け寄った。


モエは慣れた様子で背中へ飛び乗る。


『ガウ居るのか』


建物の中まで付いてきていた。


光ゴブリンが突撃。


モエが避ける。


ガウが体当たり。


一撃で終了。


────────────────


模擬戦終了


────────────────


『早い』


だが。


戦闘経験を積むには便利そうだ。


最後。


ゼフィー。


スキル練習場。


こちらは一番派手だった。


広い空間。


大量の標的。


そして。


ゼフィー。


『あ』


嫌な予感がした。


次の瞬間。


無数の魔法陣が展開される。


ドドドドドドドドドッ!!


光線。


火炎。


雷撃。


氷槍。


標的が次々吹き飛ぶ。


『やりすぎだろ』


訓練場が揺れた。


モエが遠くから叫ぶ。


「ゼフィー姉、強すぎ〜♡」


リリンも拍手している。


「すごいです!」


ゼフィー本人だけが首を傾げていた。


「普通ですわ?」


『普通じゃない』


全員一致だった。


『連携訓練場は?』


俺は案内板を見る。


すると。


────────────────


現在参加者不足


推奨人数:4〜10名


────────────────


『あー』


『これは後だな』


今は俺達しかいない。


ゴブリン達や眷属を集めてから試した方が良さそうだった。


どうやら闘技訓練館は。


実戦経験。


技術向上。


スキル習熟。


その全てを補助する施設らしい。


領地経営も重要。


だが。


戦力強化も重要だ。


敵対反応はまだ残っている。


魔界は危険な場所だ。


平和に暮らしたいなら。


まず自分達の身を守る力が必要になる。


『これは領民にも使わせた方がいいな』


モエが振り返る。


「ゴブリン達〜?♡」


『ああ』


『キャベツ達だ』


今のところ。


まともに戦えるのは眷属達だけだ。


だが。


眷属の数は少ない。


召喚ガチャ以外で眷属を増やせるかわからない。


なら。


領民自身にも強くなってもらう必要がある。


『レベルが存在するのは眷属だけだが』


『技術は鍛えられるだろ』


剣術。


槍術。


弓術。


連携。


戦い方。


そういうものは経験で身につく。


この施設なら効率よく訓練できそうだった。


ゼフィーも頷く。


「良い判断ですわ」


「戦力は多いに越した事はありません」


『だよな』


ゴブリン三十二人。


今はまだ弱い。


だが。


毎日訓練を続ければ変わるかもしれない。


『村人Aのまま終わる必要はない』


領地が大きくなれば。


守る範囲も広くなる。


城壁。


農園。


住宅地。


施設。


全部を眷属だけで守るのは限界がある。


だからこそ。


領民戦力の育成は必要だった。


『キャベツに後で伝えておくか』


『空いてる時間は訓練館を使えってな』


俺は広い訓練場を見回した。


農園が食料を支える施設なら。


魔工房は物資を支える施設。


そして。


この闘技訓練館は。


領地の戦力を支える施設なのだろう。


領地が発展するほど。


重要性も増していく気がした。


『訓練』


『生産』


『農業』


少しずつだが。


領地としての形が整い始めていた。



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