40話 問題点 ☆
『……』
俺はスマホ画面を見つめる。
ガチャ画面。
だが。
そこには無情な表示が出ていた。
【現在ガチャは利用できません】
【運営による調整中です】
ガチャ禁止。
つらい。
かなりつらい。
魔晶石はあるのだ。
2369個もある。
なのに回せない。
仕方ない。
レベル上げ、敵対反応の対処、施設の確認などやる事は山積みだ。
できることをやろう。ガチャができないなら魔晶石を惜しまず使おう。
だが今日は、もう疲れた……
情報量が多すぎた。
運営。
使徒。
死んでも復活する眷属。
そして異世界の魔王。
『疲れた……』
心の底からそう思った。
今日はもう城へ戻ろう。
流石に休みたい。
スーパー銭湯にも入りたい。
だが――。
そこで。
俺は重大な問題に気づいた。
『……あ』
広場を見回す。
巨大城壁。
施設群。
スーパー銭湯。
レストラン。
ファッション店。
遠くには図書館らしき巨大建築まで見える。
そして。
その遥か向こう。
丘の上。
超巨大魔王城。
『……遠くね?』
めちゃくちゃ遠かった。
いや。
本当に遠い。
『え、待て』
『俺の領地デカすぎない?』
今更だった。
今までは興奮とイベント続きで気づかなかった。
だが冷静になると分かる。
広い。
とにかく広い。
街一つ分どころじゃない。
下手すると国レベルで広い。
『移動だけで一苦労じゃねぇか……』
今日は色々ありすぎた。
精神的に、もう限界である。
『もう長距離移動する元気ないぞ……』
猫である。
小さいのである。
足も短い。
めちゃくちゃ疲れる。
すると。
モエも同じ事を思ったらしい。
「……遠くない?」
「もえ、もう歩きたくないんだけど……」
リリンもぐったりしていた。
「ま、まおーさま……」
「城、あんなに遠かったですっけ……?」
ゼフィーが周囲を見回す。
「おそらく以前とは距離感が違いますわね」
『うわぁ……』
完全にやらかした。
普通に住む場所なのだ。
『移動手段必要じゃん……』
その瞬間。
頭へ、一つの考えが浮かんだ。
スーパーストア。
『……あそこなら何かあるんじゃないか?』
まだちゃんと見ていない施設だ。
どんな場所になっているのか確認しつつ
移動が便利になる物を探してみよう。
“スーパーストア”なんて名前になっている以上。
絶対に便利アイテムがある。
たぶん。
いや。
絶対ある。
『よし!スーパーストアに行こう』
すると。
モエが即反応した。
「えっ♡」
「お買い物!?」
「行く行く行く〜!!」
回復が早い。
ついさっきまで魔王と戦っていたとは思えないテンションである。
まあ身体は全回復してるんだ。テンションが上がれば元気にもなるか。
リリンも目を輝かせる。
「甘いもの……あるかな……♡」
『完全に味を覚えたな』
レストランのビュッフェ。
あれ以来。
リリンは完全に甘い物に目覚めていた。
ゼフィーも静かに頷く。
「移動手段の確保は重要ですわね」
「この領地、広すぎますもの」
『ほんとにな……』
猫の足で移動する距離じゃない。
俺はガウに乗せてもらうことにした。
「ガウ♪」
ガウが少し嬉しそうに尻尾を振る。
『頼むぞー』
俺はガウの背中へよじ登った。
高い。
そして安定感が凄い。
『おぉ……』
『これ移動めちゃ楽だ……』
猫の短い脚との差が酷かった。
◇
しばらく歩き。
巨大建築が見えてくる。
『うわぁ……』
デカい。
とにかくデカい。
巨大ガラス。
派手な照明。
謎に主張の強い看板。
しかも。
入口上部には。
【SUPER STORE】
『英語ぉ!?』
さらに。
なんか見覚えがある。
圧縮陳列。
天井近くまで積まれた商品。
派手なPOP。
雑多な商品配置。
『これ完全にドンキじゃねぇか……』
中へ入る。
すると。
「いらっしゃいませ〜♪」
魔導音声みたいな案内が流れた。
軽快な音楽も流れている。
『うぉっ!?』
普通にビビる。
店内は凄かった。
食料。
家具。
武器。
日用品。
雑貨。
衣類。
意味不明グッズ。
全部ある。
『なんでもありかよ……』
本来の目的は移動手段。
そのはずだった。
だが。
気づけば全員、店内を楽しみ始めていた。
モエが真っ先に食料コーナーへ突撃する。
「スケベちゃん!!」
「これ見てぇぇ♡」
手に持っていたのは。
■黒蜜ドーナツ
ふわふわ。
やたら甘い。
見るからに高カロリー。
「絶対うまいやつじゃん♡」
袋を開けようとする。
『待て待て待て』
『会計前だろ!?』
「えっ」
「食べちゃだめなのぉ?」
危なかった。
完全に食う流れだった。
異世界でも万引きは駄目である。
『ちゃんと店を出てから食え』
「はーい……」
モエがしょんぼりする。
だが。
その目はまだ黒蜜ドーナツを見ていた。
めちゃくちゃ食いたそうだった。
『そんな顔しても駄目だからな』
「ちぇー」
リリンは完全にスイーツコーナーへ吸い寄せられていた。
■魔導チョコパフェ
■黒蜜プリン
■キラキラ苺ケーキ
「わぁぁ……♡」
目がキラキラしている。
しかも。
視線が完全にスイーツへ固定されていた。
『お前ほんと甘いもの好きになったな……』
「だ、だって美味しいんですもん……♡」
完全にハマっていた。
◇
そんな感じで。
完全に本来の目的を忘れながら店内を巡っていた俺達だが。
ようやく思い出した。
『そうだ移動手段』
慌てて探索する。
すると。
かなり便利そうな商品が並んでいた。
■魔導キックボード ☆1
速度微増
『おぉ』
普通に便利そう。
■高速滑走板 ☆2
魔力で浮遊移動
『ホバーボード!?』
めちゃくちゃ欲しい。
男心が刺激される。
■自走式荷車 ☆2
荷物運搬用
『フラン向きだな』
■騎乗用ハーネス ☆2
大型眷属へ騎乗可能
『ガウとかに乗れるのか?』
「ガウ♪」
ガウが少し胸を張る。
『お前、乗られる気満々だな?』
ちょっとロマンある。
そして。
■転移標識 ☆3
登録地点へ短距離転移
『これだぁぁぁ!!』
絶対必要。
領地広すぎ問題が解決する。
さらに。
魔導マッサージチェアー。
ソファー。
テーブル。
絨毯。
照明。
観葉植物。
ベッド。
『生活レベルがどんどん上がっていく……』
危険だった。
この店。
楽しすぎる。
◇
そして。
欲しい物を抱え。
俺達は出口へ向かった。
その瞬間。
ピピピピピピッ!!
『うわっ!?』
警報音。
赤いランプが点滅する。
さらに。
シャッターが降りた。
『えぇぇぇ!?』
出入口封鎖。
完全に閉じ込められた。
すると。
セルフレジが光る。
【未会計の商品があります】
『……セルフレジかぁぁぁ!!』
そうだった。
スーパーである。
会計しないと出られない。
当然である。
『いや待て』
『金なんて持ってないぞ!?』
財布ゼロ。
所持金ゼロ。
そもそも俺は猫である。
ゼフィー達へ聞いてみる。
すると。
「この魔界では“マカ”という通貨が流通しておりますわ」
『マカ?』
「ですが、わたくし達も急に召喚されましたので」
「手持ちはありませんわね」
『詰んだぁぁぁぁ!!』
折角。
こんな凄いスーパーがあるのに。
買い物出来ない。
蛇の生殺しにも程がある。
『くっ……!』
悔しすぎる。
その時だった。
『……ん?』
施設詳細を確認した時を思い出す。
確か、城を増築する前だった。
■売店
素材売買
アイテム販売
限定品
家具
となっていた。
『素材売買』
『……売れるのか?』
俺はスマホを開く。
素材欄。
魔素結晶。
牙。
骨。
鉱石。
よく分からない素材が並んでいた。
『試してみるか』
スマホ操作。
すると。
謎空間から素材が出現する。
『毎回思うけど便利だなこれ……』
俺は素材をセルフレジへ置いた。
ゼフィーに抱えてもらいながらバーコードを使う。
ピッ。
スキャン。
【魔狼の牙 150マカ】
【黒鉄鉱石 300マカ】
価格表示された。
『おぉ!?』
さらに。
セルフレジ操作。
【売却しますか?】
『はい!!』
ポチッ。
すると。
素材が光って消えた。
そして。
ガコンッ。
レジから。
硬貨みたいな物が出てくる。
『マカだぁぁぁぁ!!』
モエが叫ぶ。
リリンの目が輝く。
ゼフィーが感心していた。
「なるほど」
「素材換金システムですのね」
『よっしゃぁぁぁぁ!!』
これで。
思う存分。
買い物ができる!!
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