表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
37/56

36話 スケベ大魔王領 ☆

『…………』


俺は、しばらく無言で画面を見つめていた。


そして。


『やるか』


覚悟を決める。


もう止まれない。


止まるんじゃねぇぞ!そんなセリフが思い浮かんだ。


ここまで来たら、徹底的に快適空間を作るしかない。


俺は次々と施設解放ボタンを押していった。


訓練場。


遊技場。


図書館。


農園。


売店。


工房。


さらに――。


大浴場。


食堂。


衣装室。


既存施設の外部拡張まで全部実行する。


ぽこんっ。


ぽこんっ。


ぽこんっ。


軽快な効果音が連続する。


その度に魔晶石が減っていく。


『うわぁ……』


『めっちゃ減る……』


気づけば。


魔晶石を合計960個消費していた。


『高ぇ……』


普通に高い。


かなり高い。


だが――。


後悔はしていなかった。


むしろワクワクが勝っている。


完全に街づくりゲームだった。


すると。


ゴゴゴゴゴゴ……。


再び大地が揺れ始めた。


『また!?』


外を見る。


すると。


巨大城壁の内側。


森のあちこちで、建築物が次々と形成されていった。


石畳。


街道。


街灯。


噴水。


橋。


建物。


まるで見えない職人達が、一瞬で都市建設を進めているみたいだった。


『いやスケールがおかしいだろ……』


昨日からずっと言ってる気がする。


だが本当におかしい。


魔法建築とかいうレベルじゃない。


文明創造である。


まず最初に完成したのは――。


巨大な湯気を噴き上げる建物だった。


『……銭湯?』


白い湯気。


木造と石造りを合わせた巨大建築。


入口には魔導ランプが並び、幻想的な光を放っている。


しかも。


やたら広い。


『スーパー銭湯じゃねぇか!』


その瞬間。


スマホ画面の施設名が変化した。


【大浴場】

【スーパー銭湯】


これ俺のツッコミに反応したのか……?


中を見る。


普通の風呂じゃなかった。


露天風呂。


岩風呂。


寝湯。


岩盤浴。


サウナっぽい部屋まである。


『魔王城に何を求めてるんだこのゲーム……』


だが。


正直めちゃくちゃ嬉しい。


モエの目が輝いた。


「えっ♡」


「なにこれヤバ〜♡」


「絶対行く!!」


リリンも興味津々で覗き込んでいる。


ゼフィーは優雅に微笑んだ。


「素敵ですわね」


「魔力循環も非常に良さそうですわ」


どうやらバフ施設らしい。


しかも。


【一定時間リラックス効果】


【疲労回復速度上昇】


【好感度補正】


などの表示まで出ている。


『風呂で好感度上がるのかよ……』


恐ろしい世界だった。


次に完成したのは――。


巨大レストラン。


『デカっ!?』


完全に高級ホテルのビュッフェ会場みたいだった。


テラス席。


巨大厨房。


長テーブル。


個室。


すると――。


「わぁぁ……♡」


モエが目を輝かせながら、料理テーブルへ駆け寄った。


ロースト肉。


巨大エビ。


焼きたてパン。


色鮮やかなケーキ。


魔力が淡く光る謎のスープ。


完全にテンションが上がっている。


「ねぇスケベちゃん見て!!」


「肉ある!!」


「しかもめっちゃ分厚い♡」


既に皿へ山盛りにしていた。


早い。


行動が早い。


リリンはというと。


「……すごい」


少し呆然としながら、デザートコーナーを見つめていた。


小さなケーキ。


果実タルト。


魔導パフェ。


色とりどりのゼリー。


明らかに女子受け全振りである。


「まおーさま……」


「これ全部食べてもいいんですか……?」


『ビュッフェだから多分いいんじゃないか?』


「びゅっふぇ……?」


聞き慣れない言葉に首を傾げながらも、リリンは嬉しそうにショートケーキを皿へ乗せていた。


可愛い。


めちゃくちゃ可愛い。


そして――。


ゼフィーは落ち着いた様子で店内を見回している。


「ふふ……」


「随分と洗練されておりますわね」


その視線は料理だけではない。


店内設備。


導線。


厨房。


魔導冷蔵設備。


保存棚。


細かい部分まで確認していた。


完全に大人だった。


「食材保存機能までありますのね」


「長期運営を前提に設計されていますわ」


『そこまで分かるのか……』


「ええ」


「この施設、かなり重要ですわよ?」


そう言いながら、ゼフィーは優雅にワインらしき飲み物を口にする。



挿絵(By みてみん)



その瞬間。


【魔力回復速度上昇】


の表示が浮かんだ。


『飲み物でも発動するの!?』


しかも。


モエは肉料理で【攻撃力上昇】。


リリンはデザートで【精神安定】。


ゼフィーは飲み物で【魔力回復】。


料理によって効果が違うらしい。


『めちゃくちゃゲームじゃねぇか……』


完全にバフ飯だった。


『これ絶対大事だろ……』


ゲーム脳が警鐘を鳴らす。


食事重要。


かなり重要。


画面を見る


【食堂】

【レストラン】


また変化していた。


他の施設名も確認してみる。


■衣装室

■ファッション店



■訓練場

■闘技訓練館



■遊技場

■魔導遊戯館



■図書室

■図書館



■農場

■豊穣農園



■売店

■スーパーストア



■工房

■魔工房



『めちゃくちゃ現代化してないか……?』


次はファッション店を覗く。


『うわぁ……』


思わず声が漏れた。


綺麗。


とにかく綺麗だった。


巨大なショーウィンドウ。


魔導照明。


展示マネキン。


色とりどりの衣装。


ローブ。


ドレス。


軽装鎧。


和風衣装。


謎の近未来衣装。


『なんであるんだよ!?』


モエは既にテンションが限界突破していた。


「スケベちゃん!!」


「行こ行こ行こ!!♡」


「絶対可愛い服あるって!!」


「えっ、こっちも……!」


リリンも珍しく目を輝かせている。


完全に夢中だった。


そして――。


ゼフィーは、そんな二人を見ながら優雅に微笑む。


「ふふ♪」


「実に素晴らしい施設ですわね」


そう言いながら。


彼女は一着の黒いドレスを手に取った。


深い紫の装飾。


大胆でありながら気品あるデザイン。


めちゃくちゃ似合いそうだった。


「戦闘性能だけではありませんわ」


「衣装によって魔力効率まで変化しております」


『そこまで!?』


どうやら本当に装備扱いらしい。


女の子は強かった。


さっきまで“魔王領”だの“敵対反応”だの言っていたとは思えない。


施設巡りが楽しすぎた。


スーパー銭湯。


レストラン。


ファッション店。


見る物全てが規格外で、ワクワクする。


完全にテーマパーク気分である。


時間感覚が完全に狂っていた。


『このままじゃ、一日終わるぞこれ……』


まだ見ていない施設も多い。


闘技訓練館。


魔導遊戯館。


図書館。


豊穣農園。


スーパーストア。


魔工房。


全部気になる。


かなり気になる。


だが――。


『他の施設巡りは、また今度だな』


まずは、やる事をやってしまおう。


ファッション店を出て広場になっている所へ向かう。


ここでいいか。


召喚ガチャをしよう。


こんな巨大テーマパークに今の十数人だけでは寂しい。


それに領内の侵入者とやらにも対処しないといけないしな。


だが、どれくらいガチャを回すか……。


さっき。


増築1000。


時間短縮100。


施設解放と拡張960。


合計2060個もの魔晶石を使ったばかりだ。


また予想もつかない事で、魔晶石が必要になるかもしれない。


どうしようか……


まあ深く考えても仕方ない。


ガチャの引きを見ながら判断しよう。


考えをまとめた俺は10連ガチャをタップする。


すると――。


今までとは比べ物にならない現象が起こった。


広場の中央。


巨大な魔法陣のような紋様が、淡く発光していた。


以前より。


明らかに魔力濃度が高い。


『……なんか嫌な予感するな』


次の瞬間――。


世界が止まった。


『……は?』


風が止まる。


音が消える。


空間そのものが静止したような感覚。


次の瞬間。


巨大な魔法陣が、広場全体へ展開された。


今までのガチャ演出とは、明らかに違う。


紫。


黒。


金。


幾重もの光輪。


空へ伸びる魔力柱。


そして――。


空が、割れた。


「にゃ……?」


裂け目の向こう。


“何か”がこちらを見ていた。

面白いと思ってもらえたら、感想、ブクマ、評価、リアクションで応援してもらえると嬉しいです!


めちゃくちゃ励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ