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34話 拠点増築 ☆

今週はランキング入りの影響もあり、たくさんのブックマークや評価をいただくことができました!


本当にありがとうございます!


感謝の気持ちを込めて、土日は12時・24時の2話投稿します!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!

『……多いな』


思わず呟いた。


しかも。


どれも普通に欲しい。


訓練場。


戦力強化には必須だ。


模擬戦が出来るなら、連携確認にも使える。


農場も重要。


保存食問題をかなり改善できるかもしれない。


図書室も気になる。


魔界知識。


地図。


魔物図鑑。


どう考えても今後必要になる。


売店や工房も便利そうだ。


家具。


武器。


加工。


解体。


生活水準も一気に上がるだろう。


だが――。


『……待て』


俺の視線が止まる。


■遊技場


娯楽施設。


魔導カード。


ダーツ。


スロット。


闘技ゲーム。


『なんだこれ……』


めちゃくちゃ気になる。


スロットってなんだ。


魔界にもあるのか。


闘技ゲームってなんだ。


ゲーセンか?


魔界ゲーセンなのか?


『……』


気づけば真顔で考え込んでいた。


駄目だ。


全部欲しい。


完全に沼だった。


ソシャゲの拠点拡張画面そのもの。


しかも。


今はそれが“現実”として存在している。


訓練場を作れば、本当に強くなる。


農場を作れば、本当に食料が増える。


図書室を作れば、本当に知識が手に入る。


遊技場を作れば――。


『……遊べる』


これはただの施設解放ではない。


俺達の生活そのものを変える選択だ。


魔晶石を使えば。


もっと便利になる。


もっと快適になる。


気になる。


かなり気になる。


だが――。


『いや』


『待て』


今の城。


十分デカい。


だが。


根本的な問題がある。


人が増えていくのだ。


ガチャをすれば当然、眷属が増える。


今回はガチャよりも施設解放等をするが


もしも全部ガチャにまわしていたら


とんでもない数の眷属が増えるだろう。


なら。


『先に城そのものを広げた方がいい』


そう判断した。


俺は増築画面を開く。


すると。


表示された必要コストを見て、固まった。


【拠点増築】

必要魔晶石:1000個


「にゃああああ!!!」


思わず叫んだ。


高い。


いや。


今の俺なら払える。


払えるが――高い。


『ゲームの時、こんな必要だったか……?』


記憶を探る。


だが。


正直覚えていない。


そもそも。


拠点増築なんて何回もやるものじゃなかった。


気づけば終わっていたタイプの要素だ。


周回。


イベント。


ガチャ。


育成。


そっちに夢中だった。


だから。


細かい必要数なんて記憶に残っていない。


『なんか……』


『足元見られてないか?』


そんな気がした。


気のせいだろうか。


いや。


このゲーム。


妙に生々しい。


絶対プレイヤー心理理解してる。


「払えるなら払うよね?」


みたいな圧を感じる。


『ぐぬぬ……』


だが。


もう決めた事だ。


ここでケチってはいけない。


『増築!』


俺は画面をタップした。


次の瞬間。


城全体が、淡い紫色の光に包まれる。


『おぉ!?』


大広間の空気が震えた。


壁。


柱。


床。


全てが淡く発光している。


リリンが目を丸くする。


「ま、魔王さま……!?」


モエもきょろきょろ辺りを見回した。


「え、なにこれ!?」


ゼフィーだけは静かに周囲を見渡していた。


「……魔素が、城全体を循環しておりますわ」


その時。


スマホ画面が切り替わる。


【拠点増築 72時間】


『は?』


固まった。


『いや長ぇよ!?』


三日!?


待てるわけがない。


ソシャゲで72時間建築とか、即短縮するやつだろ。


しかも。


ちゃんと短縮ボタンまで存在していた。


嫌な予感しかしない。


俺は恐る恐る確認する。


【時間短縮】

必要魔晶石:100


『ぐぬぬぬぬ……!』


絶対に足元を見ている。


そうとしか思えない。


完全に、


「払うよね?」


って顔してる。


ソシャゲだったら運営は性格が悪い……!


『でも待てないんだよなぁ……』


三日間工事待機とか無理。


気になりすぎる。


見たい。


今すぐ見たい。


『……必要経費だ』


俺は震える指で、時間短縮ボタンを押した。


すると。


画面にメッセージが表示される。


【※城の外へ出てください】


『演出あるの!?』


なんか本格的になってきた。


俺は玉座から飛び降りる。


『全員、外へ出るぞ!』


眷属達も慌てて動き出す。


そして。


城の外へ出た瞬間――。


『……っ』


息を呑んだ。


光。


視界の全てが、光に包まれていた。


城。


森。


空。


地面。


全部。


白銀とも紫ともつかない、幻想的な輝きが世界を覆っている。


しかも。


それが、どこまでも広がっていた。


『……おいおい』


『どれだけ大きくなるんだよ……』


思わず呟く。


視界の果てまで光っている。


城の周辺だけじゃない。


森全体を包み込む勢いだ。


俺はごくりと唾を呑み。


再びスマホをタップした。


【時間短縮】


決定。


次の瞬間――。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!


『うおっ!?』


大地が揺れた。


地震のような轟音。


地面が脈動する。


森が震える。


木々がざわめく。


そして。


目の前で――地形が変わり始めた。


『はぁ!?』


土が盛り上がる。


地面そのものが隆起する。


丘が生まれる。


森の形が変わる。


新しい木々が一気に芽吹き、緑が広がっていく。


まるで。


世界そのものが作り替えられているみたいだった。


『なんだこれ……』


完全に自然災害。


いや。


創世。


地形生成。


そんなレベルだ。


しかも。


変化は止まらない。


巨大な石壁が、大地を割るように現れる。


城壁。


塔。


見張り台。


階段。


通路。


橋。


次々と構造物が形成されていく。


魔力の光を纏いながら。


そして――。


丘の上。


そこに現れたのは。


『……でか』


超巨大な城だった。


いや。


城というより――要塞。


城塞都市だ。


圧倒的な威圧感。


空へ突き刺さるような尖塔。


幾重にも重なる巨大城壁。


そして美しい。


幻想的ですらある。


威圧感と芸術性が両立していた。


『まさか……』


『こんな事になるとは……』


増築。


その言葉から想像していたのは、


「部屋が増える」


とか。


「施設が広がる」


とか。


せいぜいその程度だった。


誰が想像する。


地形変化レベルの超工事を。


森そのものが生まれ変わっている。


完全に別世界だ。


しばらく。


全員、言葉を失っていた。


そして最初に声を漏らしたのは、リリンだった。


「……すごい……」


目を輝かせている。


モエも口を開けたまま固まっていた。


「え、ちょ……」


「なにこれヤバ……」


「テーマパークじゃん……」


語彙力が死んでいた。


城に召喚した時と同じこと言ってる。


だが気持ちは分かる。


ゼフィーは静かに城を見上げる。


そして。


どこか感嘆したように微笑んだ。


「これほどの大規模魔法……」


「伝承級ですわね」


『伝承級なの!?』


『増築で!?』


わけがわからないよ!?


だが。


胸の奥が熱くなっていた。


ワクワクする。


興奮する。


テンションが上がる。


『……すげぇ』


城と反対の方角を見る。


丘から見渡す。


遥か遠方。


森の外周で、巨大な壁が隆起していた。


いや。


一枚ではない。


何重もの巨大城壁。


見張り塔。


巨大門。


防壁。


それらが、森そのものを包み込むように形成されていた。


スケールがおかしい。


俺は思わずスマホを見る。


そこには、新たな表示。


【魔王領を獲得しました】


【城下町システムを解放】


【居住区画を解放】


【商業区画を解放】


【外壁防衛機能を解放】


【移住者受け入れ機能を解放】


『……』


嫌な予感が確信へ変わる。


『なんだこれ……』


『ただの城じゃなかったのか?』


城下町……?


眼下では。


果てしない城壁が、森全体を囲んでいた。


まるで。


一つの国を作るみたいに。


ピコンッ!!


突然。


俺の視界へ赤い警告UIが表示された。


【イベントクエスト発生!】


【領内の侵入者に対処せよ】


『……は?』

挿絵(By みてみん)



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