2話 魔王ストリート
俺こと猫の姿の魔王であるスケベ大魔王は――
ほんの数日前までは、地球の日本で暮らす普通の会社員だった。
そんな俺が見知らぬ森の中にいるのは。
おそらく――
「魔王ストリート」というゲームが原因だと思っている。
「魔王ストリート」とはパソコンのゲームアプリでプレイヤーが魔王サイドとして魔物や悪魔を率い魔界統一を目指すゲームだ。
もともとはパソコン専用のアプリだったのだが――
スマホでもプレイできるようになる、という告知があった。
便利そうだと思い、俺はスマホにダウンロードした。
だが問題があった。
データの引き継ぎ方法がわからない。
仕方なくグーグル先生で検索。
すると――
最初の画面にある「データ連動」を使えばいいらしい。
さっそくパソコンでゲームを起動。
「スマホ連動」という文字を発見しクタップした。
表示されたパスワードをスマホに入力する。
――だが。
エラー。
「……は?」
もう一度やる。
エラー。
さらにやる。
エラー。
面倒だが、やり直す。
それでも――
エラー。
エラー。
エラー。
やけになって何度も繰り返す。
そして――10回目。
画面に表示されたのは。
【連続して失敗したため24時間後に再度お試しください】
「……」
は?
半ばやけになっていたとはいえ――
これは普通にショックだった。
そのまま、ふて寝した。
そして。
目覚めると――
見知らぬ森にいた。
しばらく混乱したが。
理解した。
現実を受け入れよう。
これは――
今流行りの「異世界転生」というやつだろう。
ならば。
お約束をやるしかない。
「にゃにゃーにゃ!『ステータスオープン』」
言おうとした。
だが。
口から出たのは――
猫の鳴き声だった。
「……」
……はい。
無理です。
猫になってしまった自分の不便さに、軽く絶望する。
そのとき――
目の前に、見慣れたものが現れた。
スマホ。
画面には。
目覚める前に操作していた――
「魔王ストリート」のホーム画面。
『おお!』
思わずテンションが上がる。
無事にスマホでプレイできるようになっている。
猫になったことも忘れ――
俺は、うっきうきでスマホを操作した。
肉球でも、ちゃんとタッチパネルは反応する。
画面に触れると――ログインボーナス。
魔晶石5個。
1日1回のログイン報酬。
『良かった……』
肉球で操作しづらいが――
スマホは使える。
それだけで十分だ。
……と。
思った、その瞬間。
『ん?』
『え?』
『ちょっ……』
はあああああぁぁ!?
マジかよおおおおお!!!
PCのデータ――
引き継ぎできてねえじゃん!!
最初の最弱状態からスタートとか――
嘘だろ!?
Oh……
なんということでしょう…………。




