表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
26/56

25話 念話と探索組 ☆

前回二話同時投稿しました。


読み飛ばしに、ご注意ください!

柔らかな感触。


暖かい空気。


ふわりと甘い香りが鼻をくすぐる。


『……ん』


俺はゆっくりと目を開けた。


視界に飛び込んできたのは、見慣れ始めた天井。


薄いピンク色のカーテン。


小さなランプ。


ふわふわした毛布。


『……リリンの部屋か』


昨日は色々ありすぎた。


風呂。


衣装室。


ファッションショー。


魔王城施設。


探索。


食事。


正直、情報量が多すぎる。


気づけばそのままリリンの部屋で寝落ちしていたらしい。


ちなみに――


当然、朝チュン的な展開はない。


だって猫だからな。


「にゃぁ……」



小さく欠伸を漏らしながら、俺は身体を伸ばした。


猫の身体って、朝起きると妙に伸ばしたくなる。


不思議だ。


横を見る。


リリンが気持ちよさそうに眠っていた。


長いまつ毛。


ほんのり赤い頬。


小さな悪魔の角。


寝息に合わせて上下する胸元。


尻尾も、安心しきったように緩く揺れている。


『……無防備だなぁ』


悪魔っ娘なのに、


寝顔だけ見ると普通に可愛い女の子である。


しかも。


俺を抱き込むような姿勢のまま寝ていた。


『……よく潰れなかったな俺』


そっと腕を抜け出す。


起こさないよう慎重に。


ぴょん。


ベッドから飛び降りた。


魔界に来て――三日目の朝だった。



『さて』


まずやることは決まっている。


スマホ確認だ。


俺は前足――いや、


マジックハンド化した手でスマホを操作する。


猫のままだとタップしづらいんだよなこれ。


画面が光る。


【3日連続ログイン報酬】


【魔晶石×10】


『おっ』


思わず声が漏れた。


『増えてるじゃん』


初日と二日目は5個だったはずだ。


三日目ボーナスか?


ゲームっぽい。


いや、ゲームなんだけど。


『こういうのでちょっと嬉しくなる辺り、完全にソシャゲ脳だな俺……』


でも実際、魔晶石は重要だ。


SP回復。


ガチャ。


施設拡張。


今後はもっと用途が増える気がする。


だから10個でも普通にありがたい。


続けてホーム画面にする。


【プレイヤーレベル:20】


『……は?』


思わず二度見した。


『上がりすぎだろ』


昨日の夜時点よりかなり増えている。


探索組、


どんだけ狩ったんだ。


さらにSP欄を見る。


【SP:18/65】


『おぉ……』


かなり減っている。


つまり。


俺が寝ている間も、


探索組はずっと戦っていたらしい。


しかも。


『限界値、増えてるな』


55だったSP上限が、65になっていた。


増加量が変わっている。


レベル上がりにくくなった代わりに


スタミナ上限の伸びが増えてる感じか?


今まではレベルアップごとに+1程度だった。


今回は+2ずつ増えている。 悪くない。


むしろ助かる。


SP不足で探索止まる事がかなり多かった。


だから上限増加はありがたい。


『高レベルほど周回性能上がるタイプか……?』


もしそうなら、


かなりゲームっぽい調整だ。


そんな事を考えながら、


スマホをポチポチしていると――


「……ん……」


後ろから小さな声が聞こえた。


振り返る。


リリンが眠そうに目を擦っていた。


髪は少しぼさっとしている。


「おはようございます……まおーさま……」


『おう。おはよう』


まだ半分夢の中っぽい。


声もふにゃっとしていた。


『眠そうだな』


「……ねむいです……」


素直だった。


可愛い。


リリンはそのままぼーっとこちらを見る。


そして――


ハッと目を見開いた。


「っ!? お、おはようございますっ!」


慌てて背筋を伸ばす。


尻尾までぴんっと立っていた。


「ね、寝顔見られてました……!?」


『可愛かったぞ』


「へ?」


固まった。


その後。


みるみる顔が赤くなっていく。


耳まで真っ赤だった。


分かりやすい。


『ふっ』


思わず笑ってしまう。


「わ、笑わないでください……!」


『悪い悪い』


リリンは恥ずかしそうに尻尾をぱたぱたさせていた。



『とりあえず大広間行くか』


「はい!」


リリンが慌てて立ち上がる。


まだちょっと眠そうだけど。


部屋を出て廊下を歩く。


静かな朝だった。


窓から差し込む薄い光。


暖かな空気。


相変わらず快適すぎる城である。


歩きながら、


俺はふと思った。


『……そういや』


念話。


これ、


どこまで届くんだ?


昨日は普通に会話として使っていた。


だが細かい仕様はまだ不明だ。


なら試すしかない。



大広間へ到着。


俺はさっそく念話を発動した。


『聞こえるかー?』


すると。


即座に反応が返ってくる。


『ギャッ!?』


『ぷるっ!』


『ガウ!』


『カタカタ!』


『オォ!?』


うるせぇ。


反応早いな。


どうやら城内なら普通に届くらしい。


しかも。


位置関係はあまり関係なさそうだ。


『大広間集合なー』


指示を出した瞬間――


「はーいっ♡」


バタバタバタッ!!


真っ先に飛び込んできたのはモエだった。


『お前早ぇな!?』


「だって呼ばれたしー♡」


そのまま勢いよく俺を抱き上げる。


『うおっ』


「朝のスケベちゃん補給〜♡」


『補給言うな』


モエは満足そうに俺の頬へすりすりしていた。


もはや愛玩動物扱いだった。


その後ろから。


「……モエさんずるいです……!」


リリンが慌てて追いかけてくる。


尻尾をぱたぱた揺らしながら、


俺をじーっと見ている。


『リリンもすりすりするか……?』


俺は冗談半分で言うが


「します!」


即答だった。


可愛い。


その時――


ガウが駆け込んでくる。


コロコロ転がるようにグミも来た。


カルシウムは妙に姿勢良く歩いてくる。


ホネはカタカタ鳴りながら入室。


キャベツは何故か慌てていた。


『お前なんでそんな急いでんだ』


「ギャッ!」


「食料確認してた!」


『お前真面目だなぁ……』


キャベツは胸を張る。


「ギャ!」


「野菜だいじ!」


野菜だいじって……


なんか名前の影響受けてないか。


少し喋ってるし。


『……便利だなこれ』


念話。


かなり使いやすい。


だが。


探索組にも試してみる。


『おーい。聞こえるかー?』


……反応なし。


『ん?』


もう一度試す。


だが返事はない。


『距離制限ありか』


どうやら離れすぎると


普通の念話は届かないらしい。


その時。


俺は、ふと最初の頃を思い出した。


最初にリリンと繋がった時の感覚。


言葉ではない。


もっと曖昧な。


感情みたいな。


『……こうか?』


俺は“眷属との繋がり”を意識する。


言葉ではなく。


感覚で。


戻れ。


帰ってこい。


そんな意思を流し込むように念じる。


すると――


『……お?』


返ってきた。


会話ではない。


だが。


“了解”


みたいな感覚が伝わる。


『とどいた!?』


すげぇ。


長距離だと、


細かい会話は無理。


でも。


簡単な意思疎通くらいなら可能らしい。


『これかなり便利じゃね?』


前世では遠距離通信なんて当たり前だった。


スマホ一つで世界中と繋がれた。


だが。


この世界では違う。


早馬や伝書鳩ですら、


かなり高度な通信手段かもしれない。


そう考えると、


この能力は相当強い。


戦略の幅が一気に広がる。


その時。


『……ん?』


返ってきた感覚の中に、


覚えのある気配が混ざっていた。


『ゼフィー?』


あいつ。


探索組にいるのか?


俺は思わずそんな顔になった。


昨日、俺はリリンの部屋へ行っていた。


だから普通に、


ゼフィーは城待機だと思っていたのだが――


『……まあ無事ならいいか』


しばらくすると。


外から大きな足音が聞こえてきた。


ドドドドドッ!!


探索組だ。


先頭では、

ブモが大量の木材を抱えながら歩いていた。


「ブモォ……!」


両腕どころか、

背中にまで荷物を積んでいる。


完全に運搬係だった。


その後ろを、

コロが元気よく駆け回っていた。


「ワフッ!」


尻尾ぶんぶんである。


どうやら周囲を走り回って、

敵や素材を探していたらしい。


さらに後ろでは、

ちび助が腹を押さえて騒いでいた。


「オレもう腹減ったぞ!」


『帰ってきて早々それかよ』


探索組が大量の荷物を抱えながら帰ってくる。


その中に――いた。


栗色の髪を揺らしながら歩くゼフィーの姿が。


俺はジト目を向ける。


『……おい』


「はい?」


『お前、俺の護衛だって言ってなかったか?』


するとゼフィーは、まったく悪びれる様子もなく答えた。


「リリン様のお部屋へ行かれておりましたので」


『うっ』


「わたくしは、いない方が良いと判断いたしました」


『いや、別にそういう――』


「それに」


ゼフィーは胸を張る。


「探索組へ同行した結果、わたくしのレベルも上昇しましたわ!!」


「とっても楽しかったです!」


どこか誇らしげだ。


「皆さんに荷物持ちとして活躍していただいたおかげで、素材も大量に確保できました。」  


後ろを見ると、確かに山ほど素材が積まれている。  


木材。  


魔石。  


肉。  


見たことのない植物。  


かなりの収穫だ。


「ですので」


ゼフィーはにっこり笑う。


「なにも問題ありませんわ」


『……いやまあ、結果的にはそうなんだけどさぁ』


ゼフィーは目をキラキラさせ楽しそうにしていた。


どんだけバトルジャンキーなんだよ!

挿絵(By みてみん)



面白いと思ってもらえたら、ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです!


めちゃくちゃ励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ