18話 スケベ大魔王と眷属たち ☆
タイトルの最後に☆が付いてる話にはAIで生成した挿絵をあとがきに添付するようにしました。
4話も添付してあります。
召喚が終わり。
大広間は、一気に騒がしくなっていた。
ゴブリンたちは落ち着きなく辺りを見回し。
スライムはぴょこぴょこ跳ね。
骨犬は床を嗅ぎ回っている。
『……』
『賑やかになったな』
そのとき。
「……まおーさま」
リリンが、おずおずと口を開く。
「まだ……ちゃんと、おはなししてません……」
『……ああ』
そういえば。
召喚ばかりで、まともな自己紹介をしていなかった。
『確かにな』
すると――
ゼルフィーナが、優雅に一歩前へ出る。
「改めまして」
胸に手を当て、微笑む。
「わたくしはゼルフィーナ」
「上位悪魔ですわ」
ゆったりとした口調。
だが、それだけで空気が変わる。
『……格があるな』
「わたくしのことは、ゼフィーとお呼びください」
ふわりと笑う。
その仕草すら上品だ。
『……』
おっぱいでっか!
いや落ち着け。
猫。
俺は猫。…と自分を説得するが無理だ。
まだ魔界に来て一晩あけただけだ。
そんな、すぐに人間だった頃の感覚を忘れられる訳がない。
…おっぱいには勝てなかったよ。
俺は心の中で、おっぱいに敗北を認める
すると。
「じゃ次うち〜」
モエスティラーナが、ぴょこんと前へ出る。
「モエスティラーナ!」
「小悪魔だよん♪」
くるっと回る。
テンションが軽い。
「長いし、モエでいいよ♡」
『軽っ』
「ウケるw」
モエがケラケラ笑う。
その横で。
リリンが、ぺこっと頭を下げた。
「……リリンです」
「よろしく……おねがいします……」
『うん。癒し』
空気が浄化される。
そして――
全員の視線が、俺に集まった。
『……』
俺の番か。
少しだけ、黙る。
『……いや』
もういい。
恥ずかしがるのは辞めだ。
逆に誇ろう。
堂々と名乗る。
気合いを入れる。
俺は――
「にゃにゃっ!」
『……』
力みすぎた。
猫の声が出た。
『くっ……!』
モエが肩を震わせている。
笑うな。
まだだ。
俺は念話を飛ばす。
『俺はスケベ大魔王だ!!』
『大魔王までが名前だ!!』
静寂。
数秒後――
「ぶっw」
モエが吹き出した。
「スケベ大魔王ってマジ!?w」
「しかも猫なのに!?w」
『笑うな!!』
「ウケるんだけどw」
その瞬間。
リリンが、むっとした。
「……まおーさまは、すごいです……!」
「ねこなのに、とか……ダメです……!」
『リリン……』
ちょっと嬉しい。癒される。
リリンは心のオアシスだ。
モエが、目を丸くする。
「え、リリンちゃん怒ってる?ごめんごめんって〜」
少し気まずい空気だ。どうにかしよう。
『……まあまあ』
俺は前へ出る。
『俺は戦わない』
『支援特化の魔王だ』
「しえん……?」
『前線で戦うより』
『後ろでふんぞり返ってる方が魔王っぽいだろ?』
「たしかにw」
モエが納得したように頷く。
『それに』
『実際、お前らを召喚して眷属にしてるのは俺だぞ』
もう一度、念話を飛ばす。
すると。
モエが「あっ」とした顔になる。
「……それはガチでヤバくね?」
『だろ?』
「ごめん、ちょっと舐めてたかも」
『ちょっとかよ』
「ごめごめん怒んないでよ。でもでのスケベ大魔王ってwマジでウケるw」
「うちは親しみをこめてスケベちゃんって呼ぶね♡」
ニヤニヤしながら、モエがこっちを見る。
「スケベちゃん、めっちゃゼフィー姉さんのおっぱい見てたくね?w」
『ぶっ』
『見てねえ!!』
「いや絶対見てたってw」
「ガン見じゃ〜んw」
『……』
否定しきれない。
その瞬間。
リリンが、ちょっとだけ頬を膨らませた。
「……」
『リリン?』
「……なんでもないです……」
なんか怒ってる?
モエがさらに追撃する。
「うちらは猫見ても興奮しないけど〜」
「スケベちゃんは、うちら見て興奮すんだねw」
「変体じゃんwウケるw」
『変態言うな!!』
「スケベ大魔王なんだから合ってるじゃんw」
『ぐっ……!』
反論できねえ。
ゼフィーが、くすっと笑う。
「まあまあ」
「元気でよろしいではありませんか」
『おまえも笑ってるだろ』
「ふふっ」
否定しない。
『……』
駄目だ。
完全にペースを握られている。
そんな騒がしい自己紹介が終わり――
ゼフィーが、ふと視線を向けた。
「それで――」
「……あちらの雑魚どもは、なんとお呼びすれば?」
視線の先。
ゴブリン。
コボルト。
骨犬。
ゴブリンアーチャー。
おばけキノコ。
小鬼インプ。
ウルフ。
スライム。
ゾンビ。
オーク。
スケルトンソルジャー。
『……雑魚ども』
容赦ねえ。
モエが苦笑する。
「ゼフィー姉さん辛辣〜……」
『まあ、実際増えすぎてわかりづらいな』
ごちゃごちゃしてきた。
『名前でも付けるか?』
その時。
『……ん?』
あることに気づく。
コボルト。
ゴブリン。
スライム。
ゴブリンアーチャー。
同じ個体が被っている。
『……』
少し、試したいことがある。
俺はスマホを操作した。
同じ種族同士を――重ねる。
すると。
それぞれ二匹が、光に包まれた。
「……!?」
リリンが目を見開く。
光は、どんどん強くなり――
やがて、収まる。
そこにいたのは。
一回り大きくなったゴブリン。
『……強化…?』
いや、どちらかというとあれは合体じゃないか?
画面を見る。
そこには――
それぞれの種族に+1
と表示されていた。
ダブったものは素材にして強化。
ソシャゲあるあるだな。
…だが消えた方は、どうなったのか?
いや、そもそも最初の2体のどちらとも違うかもしれない。
答えの出ないことだ。
考えるのは、よそう。
『……よし』
気を取り直す。
『名前を付けるか』
「お、きたきた〜♪」
モエが面白そうに身を乗り出す。
「スケベちゃんのネーミングセンス気になるんだけどw」
『うるせえ』
俺はスマホを操作しながら、順番に眷属たちを見る。
まず――
緑色の小柄なゴブリン。
落ち着きなくキョロキョロしている。
『……お前はキャベツだ』
「ゴブッ?」
モエが吹き出す。
「なんで野菜なんw」
『なんか薄い緑でキャベツを連想した』
ゴブリン――キャベツ。
うん。
しっくり来る。
画面を見る。
【ゴブリン+1に個体名“キャベツ”を登録しました】
『お、反応した』
次。
コボルト+1。
犬っぽい。
シンプルでいい。
『お前はコロ』
「ワフッ!」
尻尾を振る。
『犬っぽいしな』
「そのまんまじゃんw」
モエが笑う。
次。
骨犬。
カタカタ鳴っている。
『……ホネ』
「カタッ」
『うん。わかりやすい』
「雑〜w」
次。
ゴブリンアーチャー+1。
弓持ち。
緑。
『……ピーマン』
「ゴブッ!?」
「また野菜www」
『なんか濃い緑でピーマンっぽいだろ』
「意味わかんなw」
次。
おばけキノコ。
ふよふよ揺れている。
『オバッキー』
「プルル」
『語感がそれっぽい』
「いやそれはちょっとわかるw」
モエが頷く。
次。
小鬼インプ。
生意気そうな顔。
『……ちび助』
「キシャッ!」
『小さいし』
「雑だけど似合ってるw」
次。
ウルフ。
『ガウ』
「ガウッ!」
『鳴いた』
「そのまんまw」
次。
スライム+1。
ぷるぷるしている。
『グミ』
「プルッ♪」
『なんか美味そうだし』
「食うなよ!?w」
次。
ゾンビ。
腐臭がする。
『……フラン』
「ヴゥ……」
『腐乱してそうだからフラン』
「最低www」
モエが腹を抱えて笑う。
リリンだけは真面目に頷いていた。
「……いいなまえです……」
『リリン優しいな……』
次。
オーク。
でかい。
筋肉。
『ブモ』
「ブモッ!」
『鳴いたまんまだな』
「適当すぎん?w」
最後。
スケルトンソルジャー。
骨。
とにかく骨。
『……カルシウム』
「カタ……?」
静寂。
数秒後。
モエが吹き出した。
「カルシウムってwww」
「ネーミングセンス終わってるんだけどwww」
ゼフィーですら、口元を隠して笑っている。
「ふふっ……」
『笑いたければ笑え!』
どーせ俺にネーミングセンスは、ねえよ。
だが――
嫌そうな奴はいない。
むしろ。
名前を呼ばれた眷属たちは、どこか嬉しそうだった。
『……』
不思議な感覚だ。
名前を付けただけ。
それだけなのに。
少しだけ――
距離が近くなった気がする。
その瞬間。
スマホが、ぴろんっと音を鳴らした。
命名を終えると
スマホ画面に反応がある。
条件を達成しました。
クエストクリア。
個体名を持たない眷属に名前を付ける。
スキル獲得
スキル
【命名式】
パッシブスキル。命名した者の個性を強くし絆を深くする。
※ご褒美シーンが見れちゃうかも!
仲良くなるとドキドキするひと時がすごせちゃうぞ。
うわぁ
スキル詳細を見て固まる。
強化は嬉しいがこんな奴らのご褒美シーンなんぞ、まっったく興味がない!




