14話 戦場の違和感
『――来るぞ』
次の瞬間。
ウルフの群れが、一斉に地面を蹴った。
速い。
一直線に――こちらへ。
「にゃっ!?」
咄嗟に横へ飛ぶ。
牙が、空を裂く。
『あっぶねぇな……!』
そのまま後退。
『俺は下がる!』
岩を蹴り、距離を取る。
さらに――城の外壁へ。
『ここなら……安全圏だな』
壁の上に飛び乗り、戦場を見下ろす。
『……よし』
スマホを開く。
HP、配置、動き。
全部、見える。
『指揮ゲーだなこれ』
そのまま、観戦――いや、指揮に入る。
戦線は、すでにぶつかっていた。
ゴブリンが前へ出る。
スライムが足を止める。
ゾンビが受ける。
オークが正面で突進を止める。
スケルトンソルジャーが横から斬り込む。
ゴブリンアーチャーが矢を放つ。
『……おい』
思わず、息を止める。
『普通に戦えてるぞ……?』
もっと押されると思っていた。
相手はネームド。
しかも、二つ名持ち。
だが――
『互角……いや、押してる?』
ウルフの連携が崩れる。
統率が弱い。
それに対して――
『こっちはまとまってる』
前衛、後衛、支援。
役割がはっきりしている。
『……これが眷属か』
ヴァルグが動く。
一瞬で距離を詰める。
リリンへ。
「……っ!」
回避。
だが――間に合わない。
牙が振り下ろされる。
ガキィン!!
『……!?』
リリンが、受け止めている。
「……まだ、いけます……!」
(つよい……でも……)
『……おい』
明らかに、最初より動きがいい。
速い。
重い。
ブレない。
『なんでだ?』
「まおーさま……!」
リリンが叫ぶ。
「なんか……おかしいです……!」
(わたし……こんなに……)
「つよくなかったです……!」
『……は?』
戦いながら、困惑している。
「見えるし……」
「動けるし……」
「……なんでですか……?」
『なんでって』
当たり前のように答える。
『レベルが上がってるんだろ』
「……れべる?」
一瞬、動きが鈍る。
『集中しろ!』
「は、はいっ……!」
『……レベルだろ』
小さく呟く。
敵を倒す。
経験値を得る。
強くなる。
当たり前の流れ。
だが――
リリンは知らない。
『……?』
その違和感が、引っかかる。
ヴァルグが唸る。
「……小娘が」
「妙だな」
一気に踏み込む。
圧。
格の差。
だが――
『押し切れ』
無意識に、念じる。
その瞬間。
リリンの動きが変わる。
一歩、踏み込む。
「はあああっ!」
爆発。
ヴァルグの体が、大きく吹き飛ぶ。
地面を転がり――止まる。
静寂。
『……終わったか』
リリンが、肩で息をしている。
「……か、勝てました……」
(まおーさま……!)
『ああ』
だが――
視線が止まる。
ヴァルグ。
動かない。
『……倒したか』
ネームド。
森の主。
それが――倒れた。
戦闘後。
リリンが、こちらを見る。
「……まおーさま」
『ん?』
「……さっきの……」
「れべる……って、なんですか……?」
『……』
一瞬、思考が止まる。
『レベルがだよ、レベル』
『敵倒したら経験値もらって、強くなるだろ?』
「……?」
首をかしげる。
「けいけんち……?」
「……ふつうに戦って、つよくなるのと……違うんですか……?」
『……』
言葉が詰まる。
『……違うのか?』
この世界。
魔界。
ゲームと同じじゃない?
『……まさか』
リリンが知らないだけか?
それとも――
『レベルの概念が……ない?』
その疑問だけが、残った。
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