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13話 縄張りの主

現在の俺のレベルは13。


PSプレイヤースタミナの上限は53。


5分で1回復。


つまり、全消費しても――


『4時間25分か』


一日放置なんて、できる余裕はない。


『……周回しないと損だな』


こまめに城から出て、戦闘。


それを繰り返すしかない。


『……その前に』


スマホを開く。


装備欄。


【魔力の指輪(☆2)】


『これは――リリンだな』


タップ。


装備。


その瞬間。


リリンの指に、淡く光る指輪が現れる。


「……あ」


小さく声を漏らす。


「……なんか……あったかいです……」


(力が……魔素がわいてくる?……)


『ちゃんと反映されてるな』


よし。


次。


【ボロ布のローブ(☆1)】


『……これは』


少し悩む。


『前衛に持たせるか』


視線を巡らせる。


ゴブリン。

スライム。

ゾンビ。

ゴブリンアーチャー。

ウルフ。

オーク。

スケルトンソルジャー。


『……』


少し考えて。


『オークだな』


タップ。


装備。


ぼろいローブが、オークの体にふわっと現れる。


見た目は――


『……似合ってねえな』


だが。


オークは気にしていない。


むしろ――


どこか誇らしげに胸を張っている。


『……まあ、いいか』


性能が全てだ。


『よし』


スマホを閉じる。


『準備はできた』


リリンを見る。


「……はいっ」


(がんばります……!)


『行くぞ』


城の外へ出る。


門をくぐる。


――その瞬間。


『……ん?』


違和感。


森の空気が――違う。


ざわ、と眷属たちが動く。


『……なんだ?』


視線を前へ向ける。


そこにいたのは――


魔物の群れ。


『……は?』


思わず、止まる。


『俺、操作してないよな?』


戦闘は発生させていない。


なのに――


“いる”。


向こうから、来ている。


『……自発的に?』


一歩、前へ出る。


すると。


群れが、左右に分かれた。


道を開けるように。


『……』


その奥から――


現れた。


巨大な狼。


他の個体よりも、一回り大きい。


灰色の毛並み。


鋭い牙。


そして――


周囲のウルフたちが、自然と一歩下がる。


道を譲るように。


『……』


『ただの群れじゃねえな』


明らかに、中心。


“主”だ。


リリンが、わずかに息を呑む。


(つよい……)


『……ボスキャラか』


おいおい。

こういうボスキャラって

ステージ進めてエリアの最後の方に

出てくるやつだろ。


ボスから出てくるなんてありかよ…

それにゲームで見たことない奴だ。


やっぱり、ここは現実。ゲーム通りにはいかないな。


嫌な汗が、少しだけにじむ。


狼が、ゆっくりと口を開いた。


「……我は灰牙のヴァルグ」


「この森を統べる者だだ」


その一言で――


空気が変わる。


支配される感覚。


「ここらはすべて、我の縄張り」


「貴様らは何者だ。数は少ないが――異種族が混じっているな」

「群れからはぐれた寄せ集めか?」

「……それに、その城。何者のものだ?」


低く、問いかける。


その視線だけで、圧がある。


画面にボス表示がされる。


ヴァルグが問いただすが、それどころではない。


「にゃああああ……!?」


驚きで猫の声が漏れる。


思考が止まる。


『……喋ったあああああ!!!』


「……」


巨大な狼は、じっとこちらを見ている。


『……おい、こいつ喋ったぞ!』


リリンに念話を送る。


『俺は喋れないのに……』


「そんなことより――!」


食い気味で返ってくる。


「ネームドですよ……!」


『いや、あいつしゃべって…』


「しかも……!」


リリンの声が、さらに強張る。


「“二つ名”持ちです……!」


『……二つ名?』


視線を戻す。


狼の上に――


表示される。


【灰牙のヴァルグ】


『……マジかよ』


ネームド。


しかも、二つ名付き。


『……って、なんだそれ?』


ゲームにはなかったぞ、そんなの。


「しらないんですか……?」


リリンが、少し驚いたように言う。


『どうやら俺は常識にうといらしいな……』


小さくため息をつく。


『変なことがあったら、どんどん教えてくれ』


「はい……!」


リリンが、ぱっと顔を明るくする。


(おしえられる……!)


どこか嬉しそうに、力強く頷いた。


ヴァルグの後ろ。


同種のウルフたちが並ぶ。


数も多い。


『……囲まれてるな』


……正面突破しかねぇか


ヴァルグが、一歩前に出る。


「我の縄張りから出ていけ」


地面が、わずかに軋む。


「魔素に満ち溢れた、その城――我がもらってやる」


低く唸る。


空気が張り詰める。


『……なるほどな』


原因は、城。


でかすぎたか。


『目立つもんな、そりゃ』


リリンが、小さく呟く。


「どうするんですか……」


その声に――


ほんの少しだけ、不安が混じる。


『……』


考える。


相手はネームド。


しかも――


格上。


逃げるか?


いや――


『……無理だな』


背後は城。


せっかく貴重な魔晶石を使って作った城だ。

逃げる訳がない。


ゆっくりと息を吐く。


そして――


口元が、わずかに歪む。


『……決まってるだろ』


スマホを開く。


指が、迷いなく動く。


『敵が来たなら――』


画面をタップ。


『周回の邪魔だ。潰すぞ!』


ヴァルグが、低く笑う。


「……いいだろう」


「試してやる」


その瞬間。


空気が、張り裂ける。


その瞬間。


戦闘が、始まった。

書き溜めがなくなったのでGWのゴールデンタイムは終了ということでペース落とします。


1日複数回の投稿は終了です。


感想、レビュー、ブクマ、評価がもらえればモチベーションアップして投稿頻度もアップしますが、なにもなければ基本的に1日1回の投稿となります。

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