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9話 ぼろい寝袋と魔王の城

『なんかいいやつこい……!』


願いを込めて、タップ。


【召喚結果】


現れたのは――


ぼろい布の塊だった。


『……は?』


③ ☆1装備

【ぼろい寝袋】

効果:HPの自然回復が早まる


『……なんだこれ?』


こんなのゲームにあったか?


画面を見直す。


もう一度見る。


『……いや、いらねぇだろ』


戦闘が終われば全回復するのに、HPの自然回復?


そんなもん――使う場面がない。


『……ハズレか』


そう思って、ため息をつく。


だが。


『……いや、待て』


視線が、横に向く。


リリン。


ぐったりと座り込んでいる。


目がとろんとして、肩で息をしている。


(つかれました……)


『……』


戦闘でのダメージは回復する。


だが――


“疲れ”は、回復しない。


『……これ』


もしかして。


『リリンを、休ませろってことか……?』


ぼろい寝袋。


名前からして、しょぼい。


見た目も、しょぼい。


『……こんなので……』


頑張ってくれたリリンに。


これを使わせるのか?


『……』


なんとも言えない気持ちになる。


申し訳なさ。


情けなさ。


『……ダメだな』


これは。


使うべきじゃない。


『もっと、まともな場所を用意する』


そう決めた。


『……石はある』


魔晶石の数を確認する。


【魔晶石×110】


『……使いどころだな』


ガチャを回したい気持ちはある。


だが――


今じゃない。


『優先は、拠点だ』


スマホを操作する。


表示されたのは――


【拠点作成】


魔王ストリートでは、拠点や販売所など

様々な施設を作ることができる。


当然――


魔晶石を使う。


『……まぁ、そうだよな』


魔晶石は万能。


だから課金して買う。


『無課金にはつらい仕様だ……』


一瞬、遠い目になる。


『……いや、今はいい』


拠点作りだ。


『現実と連動してるなら……』


いけるはずだ。


タップ。


【魔晶石を50消費します】


決定。


その瞬間――


辺り一帯が、光に包まれた。


『……おお?』


さっきまで静かだった森が、一瞬で白く染まる。


空気が震え、魔素がざわめく。


画面に表示される。


【拠点作成 12時間】


『……長ぇな』


現実的には、むしろ早い。


だが――


今は違う。


『待ってられるか』


さらに操作する。


【即時完成には魔晶石10個が必要です】


【はい/いいえ】


『……当然だろ』


迷わず――


「はい」


次の瞬間。


光が、爆発した。


さっきとは比べものにならないほどの輝き。


視界が、真っ白に染まる。


『……っ!?』


眩しくて、目が開けられない。


空気が震える。


地面が、わずかに揺れる。


そして――


光が、収まる。


ゆっくりと、目を開ける。


そこにあったのは――


『……は?』


城。


それも――


『デカすぎだろ……』


前世でも見たことがないほどの、巨大な城だった。


石造りの壁。


高くそびえる塔。


魔素を帯びたような、黒い光沢。


明らかに、“普通じゃない”。


『……マジかよ』


ゲームの拠点。


そのまま。


いや――それ以上。


現実に、出現していた。


その瞬間。


(すごい……!)


リリンの感情が、弾ける。


「まおーさま……!」


ふらふらだった体で、立ち上がる。


目を輝かせながら、城を見上げている。


(おうち……)


『……ああ』


小さく頷く。


『これで、休める』


ぼろい寝袋なんかじゃない。


ちゃんとした場所で。


『……悪くないな』


猫の魔王。


ぼろい寝袋。


そして――


突然現れた、巨大な城。


『……一気にそれっぽくなってきたな』

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