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不死の彼女は三度目に俺を殺すーPQ: Rebirth Protocolー  作者: 深蒼 理斗


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第12話:IT TAKES TWO TO TANGO

 大規模会戦の予兆は、静かに訪れた。

 前線基地で、緊急会議が召集された。昴も、亘一も、呼ばれた。

 会議室に入ると、黒瀬が待っていた。

「座れ」

 黒瀬の声が、いつもより重い。

 昴と亘一が、席についた。

 黒瀬が、端末を操作した。スクリーンに、星図が映る。

「三日後、この宙域で大規模会戦が予想される」

 黒瀬が、淡々と説明した。

「Aion側が、主要補給ルートの封鎖を企図している。それを阻止するため、我々も艦隊を投入する」

 昴は、星図を見つめた。

 赤い線が、補給ルート。青い点が、Genea艦隊。黒い点が、Aion艦隊。

 規模が、違う。

 今までの小競り合いとは、桁が違う。

「VEGA、SHIFTも参加する」

 黒瀬が、二人を見た。

「準備しておけ」

「……了解」

 昴は、小さく答えた。

 会議が終わった後、亘一が昴を呼び止めた。

「スバル、ちょっといいか」

「……はい」

「ここからは敬語無しで、友達として話そう」

「……わかった」

 二人は、訓練場の片隅に移動した。誰もいない。

 亘一が、昴の目を見た。

「スバル、前の戦闘のこと」

 昴は、俯いた。

「……ごめん」

「俺は、責めてない。ただ、心配してる」

 亘一の声が、優しかった。

 昴は、顔を上げた。

 亘一が、続けた。

「RB-3を使ったとき、君は止まらなかった。俺の目には、そう見えた」

「……うん」

 昴は、正直に答えた。

「止まれなかった」

「……そうか」

 亘一が、溜息をついた。

「スバル、RBは便利だ。でも、危険でもある」

「分かってる」

「本当に?」

 亘一の声が、真剣になった。

「RBは、君の限界を超えさせる。でも、その代償は必ずある」

 昴は、拳を握った。

「……代償って?」

「自分を見失うことだ」

 亘一が、昴の肩に手を置いた。

「スバル、君は優しい。だから、戦いを楽しむことに罪悪感を抱く」

「……うん」

「でも、それでいい」

 亘一が、微笑んだ。

「その罪悪感が、君を人間にしてる」

 昴は、何も言えなかった。

 亘一の言葉が、胸に沁みた。

「……亘一、俺――」

「大丈夫」

 亘一が、昴の言葉を遮った。

「君は、まだ大丈夫だ。君には、妹さんがいてPQがいる。そして、俺もいる」

 亘一が、昴の目を見た。

「一人じゃない。それだけは忘れないで」

 昴は、頷いた。

「……ありがとう」

「礼はいらない」

 亘一が、笑った。

「俺たちは、友達だから」

 ――三日後。

 大規模会戦が、始まった。

 宇宙が、光で満たされた。

 砲撃。ミサイル。レーザー。

 数十機の機体が、入り乱れて戦う。

 昴は、VEGAで戦場を駆けた。

 目まぐるしく変わる戦況。味方機が墜ち、敵機が墜ちる。

『スバル、左!』

 PQの声。

 昴は反射的に回避した。砲撃が、VEGAの脇を通過する。

「ありがとう、PQ」

『どういたしまして。でも、まだ終わらない』

 センサーに、複数の敵性反応。

 昴は、一つ一つ対処していった。

 ――その時。

 共通帯域が、一瞬だけクリアになった。

 ノイズが消え、音声が鮮明に聞こえた。

 女性の呼吸。

 静かな呼吸。でも、確かに人間の呼吸。

 昴は、反射的に声を出した。

「……誰だ」

 沈黙。

 でも、呼吸は続いている。

 そして――

 《……スバル?》

 女性の声が、震えていた。

 昴は、息を呑んだ。

「……お前、誰だ」

 《……やっぱり、あなた》

 女性の声が、確信に満ちた。

 《見つけた……やっと、見つけた》

 昴は、混乱した。

「何を言って――」

 《今度こそ、逃がさない》

 女性の声が、決意に変わった。

 そして、通信が切れた。

 昴は、呆然とした。

『スバル、今の――』

「……分からない」

 昴は、正直に答えた。

「でも、あの人、俺のことを知ってる」

『……マリア・シンクレアかもしれない』

 PQの声が、慎重だった。

『彼女は、ずっと君の声を追ってた』

「……何で?」

『分からない。でも、君に会いたがってる』

 昴は、胸が締め付けられた。

 知らない人が、自分を探している。

 なぜ。

 何のために。

 ――答えは、まだ出ない。

 でも、いつか分かる。

 その時が、来る。

 戦場の中で、二人の糸が絡み始めていた。

 まだ気づかない。

 まだ理解できない。

 でも、確かに――

 二人は、踊り始めていた。

 終わりの見えない、ダンスを。

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