国崩し
夏が終わり、国では農作物の収穫時期が来ようとしていた。
今年は大雨が多く気温が高かったため、農作物の育成が危ぶまれていた。
しかし、なんとか収穫の時期を迎えることができそうで、人々は胸を撫で下ろしていた。
農作物が十分に収穫できなければ、食べる物も税を納めることも困難になるからだ。
だが、悪夢というのは、知らず知らずのうちに忍び寄っているものだ。
「あれ?なんかそらが暗いぞ?」
「本当だ。雲がないのに、あそこの空が暗い。」
「なんだ?どうした?」
「いや、あそこの空がやけに暗いなって……」
「ん……?ありゃ、大変だ!!村長に伝えないといけないぞ!」
「は?どうした?」
「多雨に高温……蝗害だ。」
目を凝らしてよく見ると、それは虫の大群だった。
「「うわぁぁぁぁ!!」」
数え切れないほどの虫の大群が、広い空を覆い隠している。
まるで、一つの巨大な生き物のように見える。
それが、こちらに向かってやってきていた。
農作物の一大地域である西の農耕地は、収穫を待つことなく、虫の群れに飲み込まれた。
幸い人に害はなかったものの、虫の大群は育てていた農作物だけでなく周囲の草花まで根こそぎ食い荒らしていった。
西の農耕地は、この国の自給自足率の7割を占めている。
それが根こそぎ虫に喰われた結果、今までにない大飢饉が発生したのだった。
西の食料飢饉が発生したのと同時期、南の地域ではまた別の問題が発生していた。
「おい、今日で何人目だ?」
「もう30人以上だ。そのうち半分は死んだ。」
「国からはまだ返事が来ないのか?」
「ああ、もしかすると……」
「…………」
南の地域では、現在謎の病が流行していた。
死亡率は5割。
罹った人数の半分が死んでしまう計算になる。
未知の疫病として国に奏上したが、未だ返答がない。
そもそも、対策を考えてくれているのかすらわからない。
また、疫病を警戒した人々の移動がほとんどなくなり、物流が停滞するようになった。
物流が途絶えれば、それによって立ちゆかなくなる二次被害が起こった。
人の移動を制限しても、疫病の広がりを防ぐことができなかった。
国は疫病を封じるため、感染した村々を人ごと焼き尽くすことに決定した。
これが知られたら、国中暴動が起こる。
最大限の情報統制し、慎重にことを起こしたのに、何故かその噂が各地に広まってしまった。
各地で人々が暴動を起こし、貴族や国の騎士たちが制圧する事態に陥った。
南から始まった暴動は、地域を跨いで国中で内乱へと発展していった。




