復讐の始まり
王妃から沙汰が出され、罪人の塔に連行されたルセランテは、1人、笑いを堪えるのに必死だった。
罪人の塔の一室に幽閉され、周囲に人の気配がなくなると、笑いを堪えるのをやめた。
ふふっ
ふふふっ
あははははは!!
目尻に涙が浮かぶほど笑って、やっと落ち着いた。
「やっとだわ。やっと、この時がきた。油断させるまで1年。毒を混入させて1年。ようやく実ったの。」
多くの国に忠誠を誓う家臣たちが、国王の病は王妃が手を打ったのかと思っていた。
実際、王妃も手を打っていたので、間違いではない。
王妃自身も、自分がやったのだと思っている。
けれど実情は違う。
1年前から身体の免疫を弱らせる毒を仕込み、王妃の毒を効きやすくしたのは、ルセランテだった。
ルセランテは、国王からの贈り物によく花を欲しがった。
普段おねだりをしない寵姫が強請ってくるため、どんな花でも快く手配した。
その花が、自らを苦しめる毒の素材だと知らずに。
ルセランテは、かつて世界を支配していた魔女の末裔だった。
末裔であると言っても、昔ほどの力は持っていなかった。
だが、愛する夫と娘、育った村を滅ぼされた彼女は、その怒りと憎しみから、魔女としての力を覚醒させた。
そして強大な魔女の力を、復讐心だけで制御しきってみせた。
魔女の力は多岐にわたるが、ルセランテが得意としているのは、薬と毒の生成、魔術式の作成、精神系統の術式、影の術式だった。
魔女の力を理解したルセランテは、喜びが隠せなかった。
だって、国王に復讐するために、とても便利な力ばかりだったから。
そしてその力で、復讐への道筋を作り上げた。
その一歩がまさに、国王の病。
死なないように弱らせる毒を作るのには苦労した。
しかも途中から王妃も毒を盛ってきたので、尚更死なないように調整するのが大変だった。
国王には、まだ死んでもらっては困る。
全てを失う絶望を味合わせてから殺さないと、復讐の意味がない。
だからまだ殺さない。
王妃にも殺させない。
最後に国王を殺すのは、ルセランテだから。
「さて、これで動きやすくなったことだし、次の段階に移行しようか。おいで、可愛い使い魔たち。」
呼び出したのは、影で形作り、命を吹き込んだネズミや昆虫たち。
その子たちからもらった情報を整理して、次の計画を立てる。
「民意が落ちたら、何が起こるのかしら?舞台は用意するから、ちゃんと踊ってちょうだいね?」
まだまだ復讐は、始まったばかり。
この国に、崩壊の足音が近づいていた。




