表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒音と白奈  作者: nakada
第9章
PR
77/78

77.つながった

翌日。 寮のリビング。

白奈がソファに寝転がっていた。

私は向かいの椅子で本を読んでいた。

すると突然、白奈が「……あっ!」と声を上げた。

ソファからガバッと跳ね起きる。

「どうした?」

「先輩の言ってたこと、書類の上ではその通りなんだよ」

「どういうこと?」

「事故証明書にも保険の聴取記録にも、確かに『初対面』って書いてある。

でも、それって当日――事故があったその瞬間に、初めて顔を合わせたって意味でしかないよね」

「……あたま大丈夫?」

「違う!」

白奈は勢いよく立ち上がった。

「事故の前から知り合いだったなら、書類に書きようがないじゃん。

だって、誰も聞いてないんだもん」

「どういうこと?」

「七百五十万円を持ってることを知っていた人間がいた。

でも、前日に銀行から現金を下ろしたことまでは知らなくてもいい。

その現金を持っている日を本人から直接聞いたんだよ」

「誰が?」 白奈は、事故現場の記録を思い返す。

「後部座席の女の人」

「あの女性?」

「うん」


「でも、あの人が犯人だという証拠はないよ」

「まだね」

白奈はニヤリと笑った。

「だから、確認するの。多分あってるとおもうよ」



数日後。 予言通り、あの被害者の男性が、思い詰めたような顔で交番にやってきた。

「あの……すみません。先日の七百五十万円の件ですが」

「はい」

「よく考えたら、盗まれたんじゃなくて、勘違いで自分でどこかに落としただけだと思うんです」

「えっ……?」

私は目を丸くした。

「勘違い、ですか?」

「はい。ですので、盗難届じゃなくて、遺失物届に変更していただけますか」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

私は思わず声を上げた。

「七百五十万ですよ!? 盗難届でいいんじゃないんですか?」

「いえ、もう……いいんです」

男性はどこか遠い目をして、力なく首を振った。

「奥様には何と……?」

「妻には、結局言えてません、でも、もう……いいんです……」


そのときだった。

後ろから書類を抱えた白奈が、ぬっと割り込んできた。

「無くなったまま、諦めることにしたんですよね?」

「えっ」

「だってしょうがないですよね」

白奈は男性をじっと見る。

「お金は戻ってこないし、警察に犯人を捕まえられたら――『もっと困る』から」

「な、何を……」

男性の顔がこわばった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ