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黒音と白奈  作者: nakada
第9章
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74/78

74.交通事故

「はい、こちら富山西交番」 夜勤中、交番の電話が鳴った。

「はい、はい、わかりました。すぐ現場に急行します」

私は受話器を置く。

「浜巡査、交通事故発生。

すぐ近くの公園の横の道路で、普通乗用車が人を跳ねた模様。

応援要請が来たので行くよ!」

「了解!」

私たちはパトカーに乗り込み、現場へ急行した。


現場に到着すると、道路脇に普通乗用車が一台停まっている。

運転していたと思われる男性が車から降り、倒れている男性に近寄って声をかけていた。

後部座席には、若い女性が一人乗っているのが見える。

私たちのパトカーを見ると、運転手の男性が慌てたように手を振った。


「どうしました?」

私は車を降り、倒れている男性のそばへ駆け寄った。

「ごめんなさい……。よそ見運転をしてしまって、気が付いたら男性を跳ねてしまいました」

倒れている男性はぐったりしている。

そばに手持ちのカバンが落ちているのが見えた。

男性の物だろう。

私はすぐに状態を確認した。


「浜巡査、交通整理をお願い。

私は負傷者の救命措置に入る。

応援が来るまで、できることをするよ」

「了解!」

浜巡査が道路へ向かう。


私は負傷者の状態を確認しながら、救急隊の到着を待った。

しばらくして、加害者側の運転手がどこかへ電話をかけ始めた。

「……はい。事故を起こしてしまって……。うん、場所は……」

誰かに連絡しているようだった。


それからしばらくして、一台の車が現場へやってきた。

運転手の男性がその車に近づき、何やら話している。

どうやら加害者の知人らしい。


やがて、事故車の後部座席に乗っていた女性が車から降りた。

そのまま、後から到着した車の後部座席へと近づいていく。

――と、既にその後部座席には、もう一人別の女性が座っているのが見えた。

「……?」

知人の車にしては、ずいぶん人数が多いな。

そんな私の視線に気づいたのか、女性は周囲を気にするように俯きながら、 そそくさとその隣へ滑り込んだ。


そのとき、交通整理をしていた白奈がぽつりと言った。

「女性、ミニスカだ」

「……今、そこ?」

「いや、だって目立つから」

「事故現場だから、もう少し別のところを見て」

「はいはい」

白奈は再び道路へ視線を戻した。


私は負傷者の状態を確認する。

事故現場は、すぐに騒がしくなった。

救急車が到着し、負傷者が搬送される。

交通担当の警察官も到着し、事故の状況確認が始まった。

運転手の男性は何度も、

「本当にすみませんでした」

と繰り返していた。

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