72.後日談
本田先輩から「事件が解決した」と連絡が入り、私たちはいつもの喫茶店に集まった。
先輩はいつものブレンドコーヒー、私たちはケーキセットを注文する。
「美咲のおかげで犯人が特定できた。クラウドに残っていた映像に、大沢野に住む男の顔がはっきり映っていてな。任意で事情を聞いたら、あっさり認めたよ」
先輩はコーヒーを一口飲んでから続けた。
「自動操縦ドローンの噂を聞いた時、真っ先に殺害計画を思いついたらしい。中川さんを尾行して飛行場所を突き止め、ドローンを盗んだ。女性を殺害したあと、そのドローンで山奥へ運べば見つからないと思ったそうだ」
私は思わず息を呑む。
「だが、そのままじゃ重すぎた。死体を三分割して三往復。そのたびに荷物を吊るためカメラの前へ来る。犯人はそこまで気が回らなかった。映像は全部クラウドに残っていた」
犯人はドローンを利用した。
そう思っていたつもりが、そのドローンに自らの証拠を残す事になるとは……
「ただな、証拠品として押収したドローンなんだが……中川さんは返却を断った」
「確かに、自分のドローンで死体を運ばれたら、誰だって嫌ですよね。でも、高かったでしょうに」
「ああ。民事でドローン代金は請求するそうだ」
その話を聞きながら美咲を見ると、どこか寂しそうな顔をしていた。
「三カ月かけたんだよ。一生懸命作ったのに。ちゃんと役に立ってほしかった」
「だよね。でも、技術は身についたんだし、無駄じゃないよ」
「う~……」
少しだけ元気が戻ったように見えた。
すると今度は、白奈までしょんぼりしている。
「何残念がってるんだ?」
「今回、何もしてない」
「いや、別にそんな日もあるだろ」
「次は頑張る」
「そうか、頑張れ」
白奈はじっと私を見た。
「なげやりじゃない? 美咲にしたみたいにフォローしてよ」
「そうか、頑張れ」
「だからそれ!」
店内に笑いが広がる。
事件は終わった。
また、いつもの日常が戻ってきた。
(第八部 完)
作者より
いつもご愛読ありがとうございます。
トリックのネタが尽きた為、今後は不定期連載になります。




