70.感想
寮にて、白奈と動画を見た私は、美咲にLINEを入れていた
『うまく動いてよかったね』
『本当、どきどきしてたんだから』
『依頼者さん、富山の人だったんだね。
しかも私たちの管轄でびっくりした』
『家に突っ込んだりして、
私が黒音に逮捕されたら嫌だからね(笑)』
『さすがにそれはないと思う』
『"思う"って何よ。
そこは「ない」って断言してよ(笑)』
そこへ白奈がグループLINEに乱入してきた。
『私は真っ先に美咲を疑うね(笑)』
『白奈ぁぁぁ!!』
◇
数日後――。
依頼者のAさんが、八尾町に住む中川さんだという話が、
また聞きではあるが私の耳にも入ってきた。
田舎では、少し変わったことをするとすぐ噂になる。
そして、その中川さん本人が交番を訪れ、ドローンの盗難届を提出した。
「えっ、スマホのタイムラインがあるなら、すぐ場所が分かるんじゃないですか?」
「いや……
山の下から荷物を飛ばして、戻ってこなかったんです。
慌ててタイムラインを確認したら、山頂付近で途切れていて……」
「それでドローンも見当たらなかった、と。」
「はい。
たぶんスマホの電源を切られたんじゃないかと……」
「なるほど。」
私の耳にまで噂が届くくらいだ。
中川さんが自動操縦ドローンを持っていることを知っている人は、それなりにいるだろう。
だが、どこの山へ飛ばしているのかまで知っている人となると話は別だ。
昔から付き合いのある近所の人か。
……いや。
そんな物盗んでも、一回でも使えば田舎ではすぐ噂になってバレる。
となると……
中川さんの後をつけて、飛ばす場所を見られていたのか。
「最近、誰かに見られている、とかはありますか?」
「いやー、ちょっと分からないです。」
私は調書を書きながら、
胸の奥に小さな違和感だけが残っていた。




