65.解決編、六時間
「ん?
ちょっと待って、六時間ってことは三百六十分
仮に全部十倍速にしたとして、三十六分
当日の動画の再生時間が三十二分、えっ、なんで……」
最初の説明や、途中の数回あるコーヒーブレイク、
最後の締め、それ以外は全部十倍速
「どうしたの?」
「この動画の撮影時間が六時間なら、最低でも再生時間は
プログラム時間三十六分未満+説明五分で四十分くらい
の再生時間がないとおかしいってことよ」
「計算早いね」
「六時間 × 六十分=三百六十分
三百六十分 ÷ 10(十倍速)= 三十六分」
「電卓いるわ」
「何でよ」
「じゃあ計ってみる?」
白奈は私のスマホに YouTubeの当日の動画
白奈のスマホに 別の日の動画
それぞれ、ストップウォッチのスタートボタンを押す
直前で停止させた
「じゃあ、せーので再生ね、せーの」
私と白奈は同時に動画を再生した。
二つの動画はほぼ同じように十倍速で流れている。
だが。
動画開始から一分。
白奈のスマホの動画、別の日の動画の
ストップウォッチは十分を指している
一方、私の方の動画、
事件当日の動画のストップウォッチは十二分を示していた。
今度は、十倍速ではなく、普通の等倍の所でも確認した
白奈のスマホの動画で、六十秒が経過している時
私のスマホの動画では、七十二秒が経過していた
「この動画の時計、一秒が〇・八秒になってる」
「計算わかんない」
白奈が即答した。
「何でだよ」
「文系だから」
「お前、警察官だろ」
「警察官に数学必須じゃないもん」
「これは数学じゃない、算数だ!」
私は頭の中で計算した。
六十秒が七十二秒に見える。
つまり時計は本来より二割速い。
〇・八秒を一秒として数えている計算だ。
「なるほど……」
「何が?」
「六時間作業したように見せるには、本当は四時間四十八分作業すればいい」
白奈が固まる。
「え?」
「二割増しだから」
「電卓いる」




