62.グローバル
私は腕を組んだ。
「でも、そんな事件があったんだ。知らなかった」
美咲が頷く。
「知らなくて当然よ。Kei君、神奈川在住だから」
「えっ……神奈川?」
「うん。
ちなみに、唯は石川在住だから」
「そんなんで共同開発できるの?」
「できるよ」
「一回も会わずに?」
「できるできる」
「グローバルだな……」
「黒音、今どき普通だから」
美咲に呆れられてしまった。
私は黙ってコーヒーを飲む。
白奈がいなくて良かった。
あいつがいたら、
『黒音ちゃん、石川は海外だったんだ』
とか、
『今度パスポート持って金沢行こうね』
とか、
しばらく弄られ続ける未来しか見えない。
本当にいなくて良かった。
「なんか失礼なこと考えてない?」
「別に」
私は話を切り替えることにした。
「それで、そのKeiさんだけど」
二人の表情が少しだけ真面目になった。
「どう?」
美咲が聞いてくる。
唯さんも続ける。
「この動画に不自然なところ、見当たらないの
コーヒーブレイク中の雑談も、その日のニュースの話題だし」
「うん」
「だから私たちには、どうして警察がアリバイ工作だなんて言うのか分からなくて」
私は答える
「うーん、今の内容だけでみる限り
多分、警察は別の理由でKei君が犯人だと確信してると思う」
唯さんが聞き返してきた
「別の理由?」
「いや、ごめん、そこまではわからない」
「そう、」
「ごめん、力にはなれないかも」
「いいの、話を聞いてくれるだけで良かったんだけど
美咲が、警察学校時代の同級生で警官がいるからって」
「まぁ、自由な発想の白奈ならなにかわかるかなと思って」
「なんだ、白奈目当てだったのか」
「ははは、まあまあ、」
「わかった、白奈にも話してみるよ」




