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黒音と白奈  作者: nakada
第7章
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59/78

59.第7章.YouTuber からの依頼

今日は私だけ非番の日だった。

白奈は通常勤務。

本来なら、久しぶりに一人でゆっくりできるはずだった。

……はずだったのだが。

「遅刻するぅぅぅ!」

朝からそんな叫び声で叩き起こされた挙げ句、

「黒音ちゃんの車借りるね!」

と、私が返事をする前に車の鍵をひったくられた。

そして今。

私の愛車であるアルトは白奈に乗って行かれ、私は寮の自室で一人取り残されている。

「私の車なのに……本当に何なのよ、あいつは」

テーブルに突っ伏しながら溜息を吐く。

警察学校時代からの腐れ縁だが、あいつの遠慮のなさだけは未だに理解できない。

普通、人の車を勝手に通勤に使うだろうか。

いや、使わない。

そもそも遅刻しそうになった原因だって、昨夜遅くまで動画配信サイトで犬の動画を見ていたからだ。

完全に自業自得である。

「帰ってきたら絶対に説教してやる……」

そう呟きながらスマートフォンを手に取る。

特にやることもない。

サンの散歩は朝済ませた。

洗濯も終わった。

勉強をする気分でもない。

結局、私はソファに寝転がりながら、なんとなくSNSを眺め始めた。

その時だった。

スマートフォンが震える。

画面を見る。

美咲からだ。

『今日会えない?』

短いメッセージ。

私は首を傾げる。

美咲から個人的に呼び出されるのは珍しい。

何かあったのだろうか。

『白奈に車取られたから、迎えに来てくれるならありがたいけど』

そう返信すると、

数秒後には返事が返ってきた。

『わかった。迎えに行くよ』

即答だった。



美咲に迎えに来てもらい、私たちは駅前の喫茶店に入った。

平日の昼間ということもあり、店内は比較的空いている。

窓際の席に案内されると、そこには既に一人の女性が座っていた。

年齢は二十代後半くらいだろうか。


テーブルの上にはノートパソコンと、3Dプリンタで出力したらしい小さなロボットが置かれている。


「紹介するね。最近、私とコラボ動画を出してる唯さん」

美咲がそう言うと、女性は軽く頭を下げた。


「初めまして。YouTuber をやっている唯と言います」


「初めまして。渡辺黒音です」

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