55.もしも他殺なら
寮に入って白奈と延長戦である
「福野仁が殺されたのなら、なぜ、木村一美の車の中なのか」
「一番可能性があるのは、証拠隠滅だろうね、
ただし、犯人が木村一美だったらだけどさ、
もし、他の車だったとして、木村一美の指紋なり髪の毛なり落ちていたら、
証拠になるよね、だけど自分の車なら指紋がついてて当たり前、
髪の毛落ちてて当たり前だもん」
「いやいや、自分の車を川に落とすのか?」
「盗難にあって、廃車になってるんだよ、保険おりるって」
「なるほど」
「まぁ、あくまで木村一美が犯人だったらね」
そりゃそうだ、
「じゃぁ、別の人が犯人の場合は?」
「木村一美に罪を着せたい人とかじゃない?
X の自動投稿を知っていれば、アリバイだって細工できそうだし」
「ただ、どうやって血糖降下剤を一週間分も飲ませる?」
「そこなのよ」
白奈は腕を組んだ。
「それが出来そうなのが、自殺か木村一美かその彼氏くらいしか思いつかないの」
「自殺はわかるけど、木村一美? 彼氏って動画編集を手伝ったっていう彼氏?」
「例えば、木村一美が助手席に乗っていて、
心中しましょう、とか言って、
木村一美も一緒に薬を飲む、と見せかけた
福野仁も飲む、やがて低血糖になったのを見計らって
ギアをドライブに入れて助手席からでる、とかさ」
「いや、無理があるだろ、話が飛躍しすぎて意味がわからない」
「そっか、ごめんごめん、私の中で勝手に元カレとかの設定にしてたわ
元カレがストーカーってよく聞くから……
ん、そういえば、ストーカーって言ってたけど、
もともとは、どういう関係だったんだろう……」
「……そうだな、」
「じゃあ、木村一美の彼氏が犯人だったとして、どうやって飲ませる?」
「脅して薬を飲ませて死亡させた」
「……福野仁の性格が判らないから判断できないな」
と私は腕を組んだ。
「どっちにしろ、動画編集してたって話が嘘なら、彼氏は共犯だよね」
「可能性はあるけど、元カレ設定にしろ、脅されてたにしろ、
福野仁がどういう人間か分からないから、否定も肯定もできない、
全てただの想像でしかない。
じゃあ、第三者が脅して飲ませた、という可能性をどうして省いた?」
「あー……」
白奈は頭を掻いた。
「木村一美の車が出てくる理由が思いつかなかったから」
「理由?」
「第三者が犯人なら、自分の車を使えばいいじゃん」
「なるほど」
すると、白奈は何かを思いついたように顔を上げた。
「ただ……誰が犯人かは、調べたらわかるかもしれない」
「えっ、」




