51.第6章.応援要請
上司から、
「渡辺、浜、山田付近の山中で、車が転落していると通報が入った。」
「わかりました、至急向かいます。」
私たちはすぐにミニパトに飛び乗り、サイレンを鳴らして現場へと急行した。
現場の農道に到着すると、そこには凄惨な光景が広がっていた。
車が農道から横の川に突っ込み、完全にひっくり返った状態で水没している。
見ると、車内にはすでに濁った川の水が勢いよく流れ込んでいた。
運転席の男は水に浸かったまま、うつ伏せになっていた。
ドアには鍵がかかっている。
「浜、窓ガラスを割って救出する、救助用ハンマー。」
「はい、」
私は救助用ハンマーで側面ガラスを叩き割った。
流れ込む濁流に耐えながら男性を引きずり出す。
しかし――。
呼吸も脈も感じられない。
無線で、連絡を入れ、応援を要請する
なぜ、こんな農道で、車が川に転落する?
状況的にはあまりにも不自然だった
現場は県道ではなく狭い農道で、ガードレールやフェンスの類はない。
道に沿って流れる川との落差は2メートルほどある。
もし運転を誤ったか居眠り運転なら、斜めに滑り落ちるか、ブレーキ痕が残るはずだ。
しかし、草むらに残されたタイヤ痕は、まるで意思を持っているかのように、道に対してほぼ直角に川へと向かっていた。
私は、その事を告げ、事故ではない可能性を告げた
それから十分ほどして、本田先輩率いる捜査一課が到着した。
私が本田先輩への報告を終えた頃、一人の捜査員が駆け寄ってきた。
「警部、車の所有者が判明しました。富山市内の木村一美。
昨日、車の盗難届が出されています」
「盗難車か。……で、仏の身元は?」
「それが、車内からは男の身元がわかる免許証や財布の類が一切出てこなくて……」
「身元が判らない……と」
本田先輩はひとつ頷いた。
「なら、まずは木村一美を現場へ呼んでくれ。車の状況を確認してもらいたい」
一瞬考え込むように顎へ手を当てる。
「盗難犯が顔見知りだった可能性もある」
「はい」
「さて、黒音、白奈、ここ迄だからな」
「えー、そんな―、お願いしますよ、ここ迄情報を貰って
後は、交番勤務に戻れとか言われても、絶対もやもやするにきまってるじゃないですかー」
「白奈、お前なぁ。ここからは捜査一課の管轄だ。
交番勤務の巡査が首を突っ込んでいいヤマじゃない。
黒音、白奈を連れて、交番に戻ってくれ」
「わかりました。」
私は、白奈を連れて交番に戻る事にした
「仕方ないだろ、私達は、刑事じゃないんだから」
「ぶー」
「ぶーぶー言わない」
「だってー」
「ほら、勤務に戻るよ」




