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黒音と白奈  作者: nakada
第6章
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50.閑話.クマ出没

美咲は、八尾の街並みをバックに YouTube の配信をしていた。

「はい、今日は“おわら風の盆”で有名な、富山市八尾町に来ています。結構古い町並みが綺麗ですよね、私が……えっ」


パトカーのサイレンとスピーカーからの白奈の声が聞こえる。

『八尾小学校付近にお住まいの皆さん、および通行中の皆さんへお知らせします。

 ただいま、クマの目撃情報がありました! 大変危険ですので、速やかに建物の中に入り、鍵をかけてください!』


慌てる美咲。

「……皆さん、今緊急で動画を回しています。

 クマの目撃情報があったようです。

 私も今、自分の車に避難しようとしています。」


無事車にたどり着いた美咲は運転席に滑り込み、バタンとドアを閉めてロックをかける。

「私はこのあたりに詳しくないので、とりあえず車に避難しました。

 皆さんは建物の中に避難してくださいね。」


そして、そのままカメラをミニパトの先に向けると

黒い大きなクマが、山の方に向かって走っていくのが見えた。


「あっ、クマです……」

(ミニパトのスピーカー)

『こらークマー! 怖いからあっち行けー!』

『ちょっと浜巡査! やめなさいってば!』

――プツン(音声が切れる)


ミニパトカーのスピーカーで叫ぶ白奈、止める黒音の光景…

美咲はカメラを回したまま、一瞬だけ呆然とした後、呆れたように笑って録画ボタンを止めた。

「……これは絶対バズるけど、二人の名誉のために音声はカットしとかないと、ダメだよね」


そういえば、クマで思い出したけど、クマよけスプレーって、安物は全然使えないって、前に教わったな

実験動画にして締めるのも面白いかもしれない。



後日、美咲は、アマゾンで、三千円の安いクマよけスプレーと 八千円の高いクマよけスプレーを購入した

「はい、富山のクマ騒動があったのでね、今日は、クマよけスプレーを購入してみました。

 三千円の奴と、八千円の奴です。

 今回は、この違いを見て今回の締めとしたいと思って周囲に人がいない河川敷に来ています。

 これから、実際に噴射してみたいと思います。  まずは三千円の奴から」


美咲は、空に向けてボタンを押すと『プシュー』という音と共に、白い液体が霧状に飛び散る、

明らかに飛距離は短く、噴射した瞬間から白い霧の向こうに青空が透けて見えた。


「続いて、八千円の奴です。」

比較すると違いは一目瞭然だった。

『ブシュゥゥゥーーッ!!』という音と共に、明らかに倍以上の距離、白くて後ろの青い空なんて見えないほどの威力


「商品は、金額ではない事は判っていますが、安いからという理由で買うと大変な思いをすると言うのを分かってもらいたくて実験しています。

 なお、概要欄に今回使用した両方のクマよけスプレーのリンクを張っておきますね、それじゃぁ、またね。」


高いクマよけスプレーが売れた事は言うまでもない。

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