45.第五章.いやがらせ
作者より、「37.閑話:富山の移動手段」の内容が含まれます。
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「これが、私たちの車なのね」
「私の車よ、まぁ、任意保険は誰でも運転できるタイプにしたから、白奈が運転しても別に問題ないけどね」
「黒音って、本当、私の事好きね」
「違うわ!」
警察寮に先代モデルのアルトが届いた。
程度の良い中古車を見つけた私は、その場で即決していた。
バイクも欲しかったため、車の予算は五十万円までと決めていた。
その条件で考えれば、かなり良い買い物だったと思う。
その日は、美咲も誘ってサンをドッグランへ連れて行くためにドライブに出かけた。
ひそかに、サンが車内で粗相をしないかヒヤヒヤしていたが、とてもいい子だった。
翌日、出勤した私を上司が呼び止めた。
「黒音、ちょっといいか」
「例の中古バイク店の件なんだが……」
以前、書類上トライク仕様のバイクだと言いながら、
実際には、トライクではなくただの三輪バイクを販売していたバイク屋の件だ。
「虚偽の改造申請をしていた。普通免許で乗れるトライクの方が売れると考えて虚偽の申請をしていたようだ。実際には被害者はまだ出ていなかったが、内容的には悪質でな……」
「じゃあ……」
「三十日間の営業停止処分になったそうだ」
「そうですか」
「もっとも、店長は納得していないらしいがな、『被害が無いからいいだろ』と、県警にやたら文句を言っていたそうだ」
「悪質ですね、自分で悪さを働いておきながら」
あの店で買わなくて良かった。
◇
営業停止の話を聞いた三日後、事件が起きた。
警察寮の駐車場に停まっている車が、すべてパンクさせられていたのだ。
寮長が悲鳴を上げた。
「全部パンクしてるじゃないの!」
寮長は怒り心頭。
「誰よ、こんなことしたの」
白奈
「ふっふっふ、こんなこともあろうかと。黒音の車のドラレコは24時間対応、タイムラプス機能付きを買ったのよ!」
「なぜお前が得意げなんだ?」
「まぁまぁ、いいじゃない、早速みてみようよ」
「……」
「……」
タイムラプス機能の映像を見返す
夜だったため映像は鮮明ではなかった。
男はフルフェイスヘルメットを被っている。
「誰だろう……」
「さぁ……」
しばらく映像を見ていると、男が歩き出した。
「あれ?」
「どうした?」
「この歩き方と体格、どこかで見た気がする……」
白奈に言われて、私も以前あったことがあるかもしれないと思った
その後、寮長がてきぱきと作業をすませて言った
「とりあえず署には報告しておいたわ。それと、誰も車を動かさないように言ってある、担当が来るまで現状維持よ」
「さすが寮長!」
「白奈、寮長呼びするんじゃない」
私は即座にツッコんだ。
◇
しばらくして当直の担当者がやってきた。
警察寮での事件だけあって、現場確認は手際良く進んでいく。
「パンクの写真、撮ってあります」
「これ、ドライブレコーダーの映像です」
担当者はデータを受け取ると、その場で映像を確認し始めた。
「ちょっと待ってくれ」
「この人物、どこかで見たことがあるな……」
「いや、気のせいかもしれない」
「一応確認してみる」
担当者は映像を巻き戻し、男の姿が大きく映った場面で手を止めた。
そして、あっという間に一通りの作業が終わった。




