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黒音と白奈  作者: nakada
第4章
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41/78

41.銀行強盗来店

火乃 精がグランドプラザで一日署長として挨拶している頃、

みずほ銀行富山支店の自動ドアが勢いよく開いた。


覆面をかぶった男が、サバイバルナイフを握りしめて飛び込んできた。


「動くな、強盗だ! 金を出せ!」


その声を聞いた瞬間、私は反射的に動いていた。


「動くな、警察だ!」


覆面男がこちらを向いた。

驚愕がそのまま顔に浮かんでいるようだった。

「警察がいるなんて聞いてない」

その動揺が、全身から伝わってくる。


次の瞬間、男はそばにいた動画配信者を掴み、

その首元にナイフを押し当てた。


「ち、近寄るな!」


配信者の顔が青ざめる。


そして覆面男は叫ぶ。

「一日署長と話をさせろ!」


白奈は眉をひそめた。

(……一日署長?)


私は一歩踏み出しながら、声を張った。

「そのナイフで傷一つつけたら、あなたは二度と“火乃 精”に会えなくなるぞ!」


男の反応は早かった。

「関係ない! “火乃 精”と話をさせろ!」


(……一日署長から、名前に変わった?)

白奈が小さく眉をひそめるのが視界の端に見えた。


私は無線に手を伸ばし、短く報告した。


「みずほ銀行富山支店にて強盗事件発生。

 犯人は一日署長の火乃 精との面会を要求。応援を要請します」


数分後、銀行の外には応援の警官が配置され、

警部が拡声器を手に呼びかけ始めた。


「馬鹿な真似はやめろ!」


覆面男は入口付近に立ち、

配信者の首にナイフを押し当てたまま叫ぶ。


「“火乃 精”と話をさせろ!」


その声は必死で、どこか歪んでいた。


そして——

グランドプラザから駆けつけた火乃 精が、

警部の判断で拡声器を手渡される。


彼女は震える声で、しかし真っ直ぐに男へ呼びかけた。


「なんで……なんでこんなことするのよ……」


涙を流しながら、必死に訴え続ける火乃 精。

その姿は演技ではなく、心からの叫びに見えた。


やがて覆面男の手が震え始め、

ナイフがカランと床に落ちた。


男はその場に崩れ落ち、投降した。


私はすぐに駆け寄り、配信者を保護した。

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