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黒音と白奈  作者: nakada
第4章
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40/78

40.みずほ銀行

みずほ銀行富山支店に到着すると、私は浜とともに支店長へ事情を説明した。

Xの書き込みを見せながら、できるだけ不安を煽らないように言葉を選ぶ。


「現時点では悪質な冗談の可能性が高いです。

 ただ、念のための見回りですので、通常業務のままお願いします」


支店長は緊張した面持ちで頷いた。

「わ、分かりました……行員にも共有しておきます」


行内を見渡すと、すぐに気になる人物が目に入った。

ロビーの椅子に座り、ATMにも窓口にも向かわず、ただスマホを握りしめて周囲をキョロキョロしている若い男。

足元には黒いリュック。


「浜、あれ」

「怪しいね」


私は男の元へ歩み寄った。


「富山西署の者です。少しよろしいですか?」

「えっ……な、なんですか」


近くで見ると、挙動不審というより“落ち着きがない”という印象だ。

番号札も持っていない。


「今日はどのようなご用件で? 銀行の利用は?」

「あっ、えっと……ど、動画配信です! 友達から『ここで事件が起きるかも』って聞いて……」


詳しく聞くと、グランドプラザにいる友人から

「銀行で事件が起きたら絶対バズる」と言われ、

その友人も白奈と同じような推理で「みずほ銀行が一番可能性が高い」と考えたらしい。


(……白奈の読み、当たってるな)


念のためリュックの中身を確認させてもらうと、

中にはDJI製の小型カメラや配信用の機材がぎっしり。

武器になるようなものは一切なかった。


「協力ありがとう。もう大丈夫だ」


男は安堵したように頭を下げ、私は浜の元へ戻った。


「ただの配信者だったな」

「でも、こういう“匂いを嗅ぎつける人”が来てるってことは……

 本当に何か起きる可能性、ゼロじゃないね」


浜の言葉に、胸の奥がざわつく。

冗談で終わってくれればいい。

だが、もし本当に誰かが動いているのだとしたら。


私は銀行の出入口を見つめながら、

これから起こるかもしれない“最悪”を想像していた。

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