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黒音と白奈  作者: オレオレ!
第2章

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18/21

18.美味しい時間

私たちが風呂から上がると、とっくに上がっていた大河がロビーでスマホゲームをしながら待っていた。

「じゃあ、そろそろ戻るか」



民宿に戻ると、吉田さんが迎えてくれた。

「お帰りなさいませ。夕食は一階ロビーに準備してあります」


私たちは、一度荷物を整理する名目でそれぞれの部屋に戻り、こっそりと美咲と私の部屋を交換した。

部屋に入った私は、さっそく白奈が言っていた壁の構造をチェックする。

押し入れの天井はネジ止めされているらしく、上に押すと少し撓むが、ベニヤ板はちゃんと固定されている。

また、タンスの上の天板には、L字の金具でしっかりと固定されており、こちら側からドライバーで外さない限り、隣の部屋から侵入されることは不可能な構造だと確認できた。


(……よし。物理的な侵入経路はなし、ね)

防犯確認を済ませ、私は一階のロビーへと向かった。


テーブルには、富山と新潟の県境ならではの海の幸、山の幸が並んでいた。

「「「いただきます!」」」


吉田さんは忙しそうに、二階の管理人室へ大樹さんの分の食事を運びに行く。

名物の「たら汁」を啜ると、濃厚な旨味が喉の奥にどっしりと居座るような満足感があった。美咲も「美味しいね」と満面の笑みで舌鼓を打っている。

(こういう席って、普通はビールや日本酒が置いてあるものだけど……ないのかな? まぁ、私は元々飲まないから良いけど)

少し気になって、それとなく吉田さんに聞いてみた。

「あの、すみません。こちらではお酒の提供はされていないんですか?」

「すみませんね、管理人がお酒嫌いだから民宿側からは出さないんです。でも持ち込みは可能ですから、大河さんから聞いていませんでしたか?」

まあ、会ったのは今日のことだし、聞いていなくても不思議ではなかった。

「いえ、別に元々飲みませんので、ただ、少し気になっただけです」

「そうですか?私の家は元酒屋でしたからお酒に関しては何でも聞いてくださいね」


夕食後、私たちがロビーで談笑していると、吉田さんが手際よく食器を回収し、再び二階の管理人室へ膳を下げに上がっていった。


ふと、私のスマホが震えた。寮長からのラインだ。

富山県民の犬好きなら誰もが知っているYouTubeチャンネル「富山県・狂犬病予防注射会場ドタバタ劇シリーズ」に、寮長とサンの動画がアップされたという。


ロビーのプロジェクターを借りて画面をリンクさせると、大画面に懐かしい姿が映し出された。


「ははは! 寮長、インタビューでガッチガチじゃない!」

「あ、サンが他の犬に興味津々……あはは! 注射されてキャンって鳴いて、寮長の手を噛んじゃった! よっぽど痛かったのねぇ、寮長がかわいそう」


白奈が腹を抱えて笑い、和やかな時間が流れる。

手際よく食器を洗い終えた吉田さんが、私たちに挨拶に来た。

ついさっき大樹さんの食事を回収してから、数分で洗い終えている


「さて、私は近所の自宅に帰ります。明日の朝食は七時ですので、皆様ごゆっくり」

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