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第十二話 炎を噴くレッドドラゴン

 武器屋を後にした俺たちは服を新調した。

 武器屋の杖と同じように、服屋にも戦闘に役に立たないクズのような魔法がかかっているものしか無かった


 50年前は大半の服についていた、【回避能力上昇(スピードスター)】も、【防御力上昇(バリア・ブースト)】すらない。


 体温調節機能だ?

 燃えたり凍ったりしなきゃどうでもいいだろ。

 ろくな物を置いてない店に怒りを感じる。


 その後リリスに渡す土産を探した。

 使い魔のマスターへの忠誠心は高ければ高いほどいい。

 知能が高いやつを使い魔にすると機嫌を取らなきゃいけないのが面倒だな。


「リリスちゃんもやっぱり女の子ですし、ぬいぐるみなんていいんじゃないでしょうか」


 リリスに何を渡せば喜ぶかはわからなかったから選ぶのはアンジュに任せた。


「たかが布と綿の塊が宿代三日分ねえ」


「リリスちゃん、喜ぶと思いますよ?」


 元手は魔王の財宝だしな。

 魔王も世界の各地から強奪してきたのだろう。

 俺は大きな目をした熊のぬいぐるみを買った。


 買った荷物を袋にまとめる。

 城に戻ろうと街の外れまで歩いた。

 そのとき、城の方から巨大な影が街に向かって飛んでくるのが見えた。


 見覚えのある巨体だ。

 それは、先ほど武器屋の店員が絶滅したと言っていた、ドラゴンだった。

 段々とドラゴンが近づいてくる。

 赤いウロコに覆われたレッドドラゴンだ。


「魔物は居なくなったんじゃないのか」


「私、ドラゴンを始めて見ました!」


 大きいですね!、とはしゃいだようにリリスが言った。


 空をゆうゆうと飛ぶドラゴンは、まっすぐに街に向かってくる。

 ドラゴンが頭上を通ると、巨大な翼から豪風が吹いた。

 アンジュが風に押されて尻もちをついた。


「いたた…」


「どんくせえな」


 街の人間がドラゴンに気づき、騒ぎだした。


 ドラゴンは街の真上にとどまり、空中からざわめく人間に向かって火を噴いた。


「ぎゃーーー!」


「助けて!」


「おい、押すな!」


 ドラゴンに燃やされた住民が悲鳴を上げた。

 逃げ惑う人々が叫んでいる。


カンカンカンカン!


 火事や災害を知らせる鐘の音が鳴り響いている。


「まさに地獄絵図ですね!」


 アンジュが楽しそうに言った。

 この世界を悪で満たしたい、と言ったこいつにとっては、この光景は歓迎すべきものなのだろう。


「城の方から飛んできたな」


「リリスちゃんみたいに封印されてたんでしょうか」

 

「それか、リリスが門を開いたか…」


「門?」


 今朝のリリスとの会話を思い出した。

 小部屋はこの世界と地獄との門だとリリスは言っていた。


 魔物が大量にこの世界にやってきているのかもしれない。

 俺には関係ないことだがな。

 今のところはドラゴン以外は見当たらなかった。


「絶滅したらしい貴重なドラゴンがいるんだ。狩るか」


 あのドラゴンを使い魔にしよう。

 スペアはいくらあってもいい。


 あの調子だとリリスが使えるかは微妙だしな。

 リリスの魔法弾に比べれば弱いが、あの少女よりも言うことを聞かせるのは容易いだろう。


「いいですね!お供しますよ!」


 アンジュがやる気満々に声を上げた。

 どうせ死にかけるのに、懲りないやつだな。

 俺とアンジュは街から逃げる人々の群れの流れとは逆方向に走った。


 ◇


 ドラゴンのいる中心部にたどり着いた。


 中心部では、自警団が剣と大砲でドラゴンに立ち向かっていた。

 自警団がもつ武器は、武器屋で見たものと同じ、ほとんど戦いに役立たない魔法しかかかっていないものだった。


 そんなカスみたいな装備でよくドラゴンに挑めるな。

 俺は軽蔑と尊敬がないまぜになった視線を送った。


「今だ!撃てー!」


「ちくしょう、また死んだ…」


「逃げるな!ここで食い止めろ!他の奴らが逃げ切るまで時間を稼げ!」


 怒号が飛び交っている。

 自警団は懸命にドラゴンに攻撃を加えているが、ドラゴンは無傷だ。


 自警団の側、ドラゴンの真下には人々の焼死体がゴロゴロと転がっている。


 死体のそばで、子供と自警団らしき男が言い争っていた。


「おかあさん!おかあさん!」


「もう死んでる、ここは危険だ。早く逃げるんだ。」


「いや!おかあさんといる!離して!」


 母親らしき死体に縋り付いて泣く子供を、自警団の一人が無理やり引きはがし連れて行った。


「地獄には行ったことがないですけど、こんな場所なんですかね!」


 アンジュがキョロキョロと周りを見渡していった。

 目の上に手をかざしている。

 今のこの場所だと大げさな仕草に見えないな。

 なにせどこもかしこも火の手が上がっていて眩しい。


「さあな、リリスに聞けば教えてくれるんじゃねえの」


 ドラゴンは目標など無いかのように当たり一面に炎をまき散らしている。

 とうとう俺たちを炎が襲った。


ゴゴゴゴゴゴゴ!


 炎は紫と赤が混じった色をしていた。

 シールドを張り防ぐ。


 新調した服についていた体温調節機能が働いているのか、思ったほどは暑くない。

 この時代の魔法も中々使えるじゃねえか。


 炎がシールドに沿って周りに広がった。


「ぐあああああああ!」


 逃げていた住民がその火に巻き込まれ、断末魔を上げた。


 ドラゴンとの戦闘が始まった。

 




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