第二十一章
「一先ず、といった所だけど。シャルちゃんとゲイル君、クロハちゃんの三人は問題なさそうね。クロハちゃんとユーリは入れ替えて、あなたたちに、先に行ってもらうわ。レイル君の捜索、同時に手が回る範囲だけでいい。占領された街の救出、場合によっては敵軍の殲滅もね。大丈夫、皆が目覚めたその力なら、そう遅れはとらない」
三日遅れで、クロハの儀式も終了していた。元々並外れた魔力を持つ彼女だが、それと同時に更に容量を増やしている。それでもレイルやミネルバに及ばない辺りを考えると、二人が桁違いなのだが。
「リュージュちゃんとテリー君も、あの様子ならあと三日位でしょうね。体を慣れさせるのに一日見るとしても、レイル君が予想する期限まで、ほぼ半分残っているわ。ユーリが集めてきた情報を整理した限り、戦況は五分と五分。兵力で上回る帝国と、総合力の皇国軍。二つが睨み合っているのなら、私達はこれを撹乱して回る。大まかな方針だけれど、それでいいかしら?」
「後の二人は、ルーカスへ送り届けるよう手配しました。私達は二班に分かれ、個別に行動します。次に全員が揃うのは、恐らくこの戦争が終わる頃になるでしょうね」
戦力が整った故の、二正面作戦。定期的に報告は送りあうが、実際に顔を合わせる事は、ほぼ確実になくなる。相手は双方共に強大、それに対し、自分らは一騎当千といえども、戦力比は比較のしようもない。
「引き返すなら、今の内って事ですね。まあ、こんな事までやっておいて、逃げるも何も無いでしょうけど。先生、警告するつもりなら無駄ですよ?少なくとも俺は、あいつの顔を思いっきりぶっ飛ばさないと、気が済まなくなってますから」
ゲイルの言葉に、クロハとシャルロッテの二人も力強く頷いていた。シャルロッテの場合は、一度は同行していたが、途中で置いて行かれたという感情も混ざっている。二人の安全を考慮した上での決断ではあったが、それを知ったとしても、彼女は納得が行かなかった。理屈ではなく、感情という点において。秘めていた怒りが、今になってではあるが、緩やかに湧き上がる。
「放っておけば、あいつは無茶ばっかりしやがる。学園にいた頃も、ずっとそうだったからな。ここらで誰かが止めないと、多分取り返しがつかなくなる。先生、止めても無駄だぜ?あたいらだって、伊達や酔狂でこんな場所に来た訳じゃあないんだから」
「全く、この子達は……。私も歳かしら、教え子に教えられるなんてね?いいわ、そこまで言うなら、もう私から言う事は無い。皆で行って、勝手に突っ走ってるレイル君を止めましょう?」




