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Folktale-side DARKER-  作者: シブ
第二部
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第十四章

「最初は驚いたわよ?いきなり出てきて、私が苦戦していた相手を、あっと言う間に吹き飛ばすんだもの。ここの西にある砦と、南の城を解放すれば、皇国軍は多少なりとも、行動の選択を取れる。多分彼も、そう考えたんでしょうけど……。不思議なのは、学園を離れてたった一年ちょっとなのに、どうやってあれだけの魔法を創ったのか、それに尽きるわね」

 ミネルバやクロハと合流したリュージュは、まずレイルについて問い質した。何か話をしなかったか、そして今までの彼の動向を、誰か知らないのか、と。

「もともと、知ってはいたんですよ。でもある事情で、それだけの魔力を用意出来なかっただけです。俺の事は後回しにして、今はとにかく、状況整理からです」

 音もなくやってきたレイルに、その場の全員が目を向けた。それどころか、そこにいる存在感さえも薄い。まるで、抜け殻だけがそこにあり、言葉を発しているかのように。

「教官二人は感づいているでしょうけど、帝国兵の殆どが改造されているみたいです。少なくとも、俺が今まで遭遇した連中は、全部が全部そうでした。素体になったのは、俺の両親。魔族界最強と呼ばれていたらしいノイエ・トルマンと、エルフ最高の魔導師レクトリア・トルマン。どういうわけか、その能力の殆どを継承しているみたいで」

「やっぱり、その二人だったわけね?おかしいと思ったのよ。レクトリアの魔力がそこら一帯から感じられて、しかも魔法詠唱の癖まで同じ。あなたの父親に関しては、私達は知らないけれど。ジェノスの話を聞いた限りでは、とても強かったのでしょう?」

 父親の戦闘に関しては、レイルさえ記憶していなかった。戦う姿を見た事は殆ど無く、昔話を聞く機会さえ、滅多に無かったのだから。しかし、その実力が一級品であった事は、ジェノスにより証言されている。無敗と呼ばれた彼の部隊を、遭遇する度に苦戦させ、幾度かは彼らを撤退へと追い込んだ程と言う。

「意識が無い、というのが一番厄介ですね。痛みを感じず、大抵の捕縛魔法ならば、強引に破って出てきますから。対処法なんて、あるんでしょうか?」

 二人の言葉に、部屋全体が静寂に包まれる。それを破ったのもまた、レイルであった。

「正直、対処なんて出来ませんよ。魔法障壁、もしくは物理障壁を全員が持ち、俺以上の魔力でそれを全力で展開するんですからね。俺がまだ習得出来てない魔法も使うし、相殺が出来ない種類のもある。対抗策としては、ただ一つ。遭遇したら、接近される前に制圧する。それが出来るのは、この中だと教官二人と、クロハがせいぜいですか」

 率直な意見に、他の全員が非難の声を上げた。言外に戦力外と言われた事に対し、真っ先に反応したのがゲイルだった。

「ちょっと待て。他にやりようはあるだろ?戦力さえ分かれば、対策だって練れる。それに沿って戦略を考えれば―――」

「で、のろくさと出て行って、的にされると。言っただろ、二人共常識の範囲外の戦力だって。バスターも同じだけど、オリジナルの劣化コピーだからって、甘く見るなよ?父さんに関して言えば、帝国最強の名でさえ苦戦した相手なんだからな。母さんの事は、教官二人がよくご存じでしょう?」

 レイルの問いに、ミネルバは息を飲んだ。確かに、劣化した模造品とはいえ、対峙した限りでは、実力はほぼ変わらない能力。それも、彼女が好んでいた魔法をも模写しており、威力も記憶にあるものと同等、若しくはそれ以上。それを考慮すれば、このメンバーでさえ苦戦を強いられる事は、目に見えて明らかであった……。

「分かったら、お前らは大人しく何処かに隠れてろ。もうすぐ、最高の切り札がこっちに到着する。掃討戦は俺達で担当するから、絶対出てくるなよ。何かしら、特別な能力があるって言うなら、話は別だけどな」

 微かに仄めかした、ある方法への糸口。戦力不足を補う為の、現状で取れる中では、唯一の手段。そして、その手段を行使する為の人材は、ここに揃っていた……。

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