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パペットだいちゃん  作者: オレオレ!
第1章

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6.セルフ効果音

ようやく森に着いた。

だいちゃんと私――いや、実質歩いているのは私一人だけど。


森に入ってからはずっと急な傾斜が続いていて、とにかく歩きづらい。

息を切らしながら進む。その時――。


「……っ! 見つけたよ!」


だいちゃんの声に顔を上げると、茂みの奥にいた。


オオカミが、一匹、二匹、三匹……。


多くない?


「大丈夫だって。僕の素早い剣技で、あっという間だから」


「シャッ!」


風切り音かと思いきや、だいちゃんが自分で「シャッ!」と言いながら、

私の右手を素早く左へ振った。


「シャッ!」


今度は、左へ移動しただいちゃんが右へ戻る。


「えっ、えっと……大丈夫なの、それ?」


だいちゃんはドヤ顔(布だけど)で左右にシュシュシュッ!と動いている。

けれど客観的に見れば、私が自分の右腕を必死に往復させているだけである。


何かすごいスキルが発動する予兆も、光り輝くエフェクトもない。


「勇者の剣技って……セルフ効果音なの……?」


不安が募る。


目の前のオオカミたちは、

この怪しい動きをする「巨大な足(私)」と「うるさい右手だいちゃん」を

どう仕留めるか、じりじりと距離を詰めてきている。


「グルルルルル……」


喉を鳴らす重低音を前に、私は立ち尽くした。

恐怖で足がすくみ、喉がひきつって声も出ない。


「出たな、オオカミ! この勇者だいちゃんが、天に代わって成敗してくれる!」


「ちょっ、無理無理無理!!」


だいちゃんの無謀すぎる時代劇風の口上のおかげで、ようやくツッコミの声が出た。


だいちゃんが右腕を掲げ、小さな剣を構える。

……刃渡り5cmくらい?

勇者の聖剣どころか、工作用のミニカッターにしか見えない。


私は丸腰。武器なんて一つも持っていない。


「ガウッ!」


一匹目のオオカミが、地を蹴って襲いかかってきた。


「キャーッ!」


私は叫び、思わず目をつむる。


「シャッ!」


至近距離で、だいちゃんの凛々しい(セルフ)効果音が聞こえる。


「キャンッ!!」


続いて響いたのは、情けない犬のような悲鳴だった。


……え?


私は恐る恐る目を開けた。


先頭に立っていたオオカミが、前足で目を覆うようにしてのたうち回っている。

だいちゃんのミニマムな剣が、正確にオオカミの目を切り裂いたのだ。

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