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パペットだいちゃん  作者: オレオレ!
第1章

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5/9

5.勇者の装備とオオカミ退治

「これは『鋼鉄のレギンス』だ。防御力は高いが、重いのが難点だな。

こっちは『疾風のサンダル』。移動速度が上がるが、耐久性は紙だ。

スピード重視にするか、防御力重視にするか、それともバランス型か……」


店主が深刻な顔で悩み始めたが、私の忍耐は限界だった。


私は強引にだいちゃんを引っ張って、防具屋の外へ飛び出した。

呆れ果ててしまったのだ。

ツッコむのも疲れるし、正直、もうどうでもいい。


「もういいわよ。スニーカーで十分。

私は人間なんだから、履き慣れた靴が一番なの!」


「えーっ、加奈お姉ちゃん、どうしたの?

僕まだ、僕の帽子を買ってないよ」


右腕でだいちゃんが不満げにバタバタと暴れる。


「あんたの帽子はどうでもいい!

そんなに帽子が欲しかったらね、夢から覚めたらいくらでも作ってあげるわよ。

フェルトでも何でも使って、最高級のやつをね!」


「……本当? 約束だよ!」


急にだいちゃんがおとなしくなり、ボタンの目をキラキラ(させたような気が)させた。


「だったら僕、魔法使いの帽子がいいなぁ。

黒くて、こう、三角形のやつ。……ね、約束だよ、お姉ちゃん」


思わぬ無邪気なおねだりに、毒気を抜かれてしまう。


あんた【称号:勇者】でしょ。なんで魔法使いの帽子なのよ……。

と、職業設定の矛盾に心の中でツッコミつつ、私はため息をついた。


「……わかったわよ。約束。現実に戻ったら、最高にカッコいいやつを縫ってあげるわ」



「よーし! オオカミ退治に出発だー!」


だいちゃんの元気な掛け声と共に、私の足は動き出した。

目的地は東の森。

さっきまで夢か現実か判別がつかなかった世界だが、

もうそんなことはどうでもよくなっていた。


とりあえず、だいちゃんに続く。

すべては明日のライブ配信のネタのため。


「ねぇ、だいちゃん……その森って遠いの?」


「んー? すぐそこだよ! ほら、もう道の脇から草が生え始めてるでしょ?」


確かに、通り過ぎていく景色は徐々に人家が減り、

石畳の道路も粗末なものへと変わっていく。

そしてついに、完全な悪路に差し掛かった。


「ちょっと待って……待ってってば!」


舗装も何もされていない、ただ土が踏み固められているだけの小道。

その地面は時にぬかるみ、時に尖った石ころが顔を出す。

スニーカー越しにも衝撃がダイレクトに伝わってくる。


「痛っ!……うわっ、すべった!」


「ほらほら加奈お姉ちゃん! 遅れてるよー。足を上げて!」


右腕のだいちゃんがぐいぐいと引っ張る方向へ、無理やり足を運ばされる。


「ねぇ! ちょっと休もう、久しぶりに結構歩いて疲れたよ……

あぁぁ、限定モデルのニューバランスなのに……泥だらけになったじゃない!」


「ねぇ、お水持ってない?」


だいちゃんは首を横に振る。


「ぼく、そんなに喉乾くことないから持ってない」


ああ、そうだった。こいつは綿と布の塊。

生理現象を共有できない相棒ほど、厄介なものはない。


私はカサカサになった喉で、絶望的に噛み合わない空を仰いだ。

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