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38.冒険譚と勇者の称号

Aランク冒険者パーティーの冒険譚はすごかった。

まさかドラゴンの討伐話まで聞かされるとは思わなかった。

うん。

この世界、ドラゴンがいるんだ……。


あと、勇者の称号についても教えてもらった。

どうやら勇者は、だいちゃんだけではないらしい。

でも、それより気になる話があった。

「勇者は死んでも復活するんだ」

冒険者は当然のように言った。

「正確には、勇者の称号を持つ者だな」

「昔からそうだ。死んでも戻ってくる」

「呪いみたいなものさ」

私は思わず舞香と顔を見合わせた。

呪い。

いや、それって――

強制切断じゃない?

勇者が死ぬ。

リンクが切れる。

しばらくして再接続される。

そう考えると、私たちが見てきた現象と妙に辻褄が合ってしまう。

舞香も同じことを考えたらしい。

ゆっくりと、だいちゃんへ視線を向けた。

「だいちゃん、勇者なんだよね……?」

「うん。僕、勇者だいちゃん」

いつもの調子でだいちゃんが答える。

「じゃあ、だいちゃんも復活するってこと?」

「わかんない」

あまりにもあっさりした返事だった。

「わかんないって……」

「だって死んだことないもん」

それはそうだった。

私は思わず苦笑する。

でも――

もし本当に冒険者たちの言う通りなら。

だいちゃんが死んだ時。

私たちが見ている"強制切断"と同じ現象が起きるのかもしれない。

そんなこと、確かめたくはなかったけれど。



話が一段落し、私たちは席を立った。

「ありがとうございました」

舞香がぺこりと頭を下げる。

「いやいや、こっちも暇つぶしになった」

「ドラゴン討伐の話なんて久しぶりにしたしな」

冒険者たちは笑った。

そこで舞香が、ふと思い出したようにアクセサリーポーチを開く。

「あ、そうだ」

中を覗き込み、小さな銀色のアクセサリーを取り出した。

「お礼です」

「ん?」

「取材協力費」

冒険者たちは一瞬ぽかんとした。

「いや、別にそんなのいいって」

「でも聞かせてもらったし」

舞香は強引に相手の手へ乗せる。

「記念品ってことで」

「ははっ、変わった嬢ちゃんだな」

冒険者は苦笑しながら受け取った。

私はその様子を見ながら、

本当に渡しちゃったんだ……

と思った。

でも舞香は満足そうだった。

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