表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/41

19.だい活躍?

「加奈お姉ちゃん、僕もギュッとして!」

右手のだいちゃんが、さっきの舞香たちの様子を見て羨ましくなったのか、甘えた声を出した。

「活躍したらね」

私はわざと素っ気なく返す。

「ちぇー」

だいちゃんは不満そうに口を尖らせた。

「そんなことより、薬草拾ってギルドに戻りましょ。舞香にも、早くミクスの町の風景を見せたいしね」

私たちは気を取り直し、再び地面の薬草を集め始めた。

その時だった。

ふいに、だいちゃんがぴたりと動きを止める。

ボタンの目が、森の奥をじっと見つめていた。

「……ん?」

次の瞬間。

私の意思とは無関係に、右腕が勢いよく持ち上がった。

「えっ、ちょ、だいちゃん――」

言い終わる前に、だいちゃんが叫ぶ。

「敵発見ーっ!!」

そして――走り出した。

いや、違う。

私が、だいちゃんに引きずられて走らされたのだ。

「うぁああ!? ちょっと待って待って待って!!」

次の瞬間、私の足は勝手に地面を蹴って大ジャンプ。

視界が一気に浮き上がる。

「行くぞぉ! 必殺――『ジャンピング・ダイレクトアタック!!』」

空中で前のめりになった状態から、右腕が勢いよくだいちゃんを射出した。

いわゆる全力投球モードである。

だいちゃんの飛んでいく先には、大きなコモドオオトカゲみたいな魔物の姿があった。

「あっ、なんか強そうなのいる――」

そこまで確認したところで、私は重大な事実に気付く。

推進力だいちゃんを失った私は、普通に落ちる。

「ちょっと待っ――」

ズサァァァァァンッ!!

私は盛大に地面へダイブした。

顔面から。

「痛ったぁぁぁぁぁ!!」

泥と草まみれになりながら、私は地面に突っ伏す。

その直後。

ドォォォン!!

少し離れた場所で、重たい衝突音が響いた。

「やったぁー!!」

ぴょんぴょん跳ねながら、だいちゃんがこちらへ戻ってくる。

「加奈お姉ちゃん! 僕、活躍したよー!」

振り返ると、さっきまでいた巨大トカゲが完全に伸びていた。

どうやら、本当に仕留めたらしい。

「…………」

私は泥だらけの顔のまま、無言でだいちゃんを見上げた。

「えへへ」

「えへへ、じゃないわよぉぉぉ!!」

私は勢いよく立ち上がった。

「だいちゃん! 勝手に飛び出したら危ないでしょ!? せめて動く前に言いなさい!」

「は、はいぃ……」

だいちゃんがしゅんと縮こまる。

隣では、クロさんが露骨に不機嫌そうな声を出していた。

「そうだぞ。俺様の活躍の場を台無しにしやがって」

「そうそう! 完全にだいちゃんの単独ライブだったね!」

舞香はケラケラ笑いながらクロさんに同調している。

「うぅ……ごめんなさーい……」

だいちゃんが私の右手の上でぺこりと頭を下げた。

布の塊のくせに、タヌキだけどまで垂れ下がっているように見える。

「うっ……」

私は思わず言葉に詰まる。

「そ、そんな顔されたら、それ以上怒れないじゃない……」

あざとい。

絶対あざとい。

でも、ちょっと可愛いのが悔しい。

私は大きくため息をつきながら立ち上がり、服についた泥を払った。

そして、倒れている巨大トカゲと、周囲に散らばった薬草を見回す。

「……ハァ。ほら、だいちゃん。魔核まかく回収して」

「はーい……」

「薬草も拾って、さっさとギルドに戻るわよ」

すると、舞香がニヤニヤしながら口を開く。

「でも加奈、“活躍したらギュッとしてあげる”って言ってたよね?」

「……あっ」

しまった。

私が固まると、だいちゃんのボタンの目がぱぁっと輝いた。

「加奈お姉ちゃん!!」

右手が全力でこちらへ飛びついてくる。

「わっ、ちょっ――!」

ぎゅうううっ。

勢いそのままに、私はだいちゃんを抱きしめる形になった。

泥だらけのまま。森のど真ん中で。

「えへへぇ~」

だいちゃんは満足そうに頬をすりすりしてくる。

「……もう。調子いいんだから」

私は呆れ半分でため息をつきながら、そっと右手を撫でた。

――ふと見ると、だいちゃん、魔核回収のせいで血まみれだった。

「あー、私の服が血だらけになったじゃない」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ