表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【休載中】(初稿版)本能寺は止めない、だが光秀は死なせない 〜未来を知る将軍・足利義昭、戦国を動かす〜  作者: 細川 雅堂
第五章 京の陰謀

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/37

第二十三話 黒幕

京の空は重く沈んでいた。


将軍暗殺未遂から一夜。

光秀は再び、刺客が拘束されている部屋へ向かった。


縄で縛られた刺客。

黒装束。

覆面。

動かない。


光秀は装備を調べる。

短刀。

縄。

小袋。

どれも粗末。


(動きは訓練されている)

(だが装備は粗末)


光秀は眉を寄せた。


(使い捨てだ)


侵入経路も不自然だった。


(誰かが)

(道を作った)


光秀は息を吐いた。


(ただの刺客ではない)

(背後に……誰かいる)


黒幕候補が脳裏に浮かぶ。


三好残党。

寺社勢力。

朝廷内部。

織田勢力。


(……どれもあり得る)


光秀は刺客の前に立った。



「誰の命だ」


光秀は静かに問う。

刺客は沈黙したまま、覆面の奥で目だけを動かした。


やがて──

かすれた声で一言だけ。


「金だ」


光秀は息を呑んだ。


(……金?)


商人か。

堺か。

あるいは──

織田の誰かか。


疑いは広がるばかりだった。

光秀は義昭のもとへ向かった。



光秀が報告を終えると、義昭は静かに言った。


「黒幕は」


少し間。


「個人ではない」


光秀は驚いた。


「しかし……刺客は“金”と──」


義昭は首を振った。


「金で動く者は、盤面の駒にすぎぬ」


光秀は息を呑んだ。


(……駒)

(人ではなく、駒)


刺客の姿が、別のものに見え始めた。



義昭は指を折りながら言う。


「朝廷」

「公家」

「寺社」

「三好の残党」


少し間。


「織田の内部」


光秀は黙って聞く。

義昭は続けた。


「成功すれば将軍が死ぬ」

「失敗すれば政治事件になる」


光秀は息を呑む。

義昭は静かに言った。


「どちらでも盤面は揺れる」

「これは暗殺ではない」

「政治だ」


光秀の背筋が冷えた。


(……このお方は)

(刃ではなく、構造を見ている)


義昭はさらに続けた。



「黒幕は一人ではない」


少し間。


「この国そのものが黒幕だ」


光秀は言葉を失った。


刺客が──

本当に“駒”に見えた。


(構造が……動いている)


義昭は光秀を見た。


「光秀。

暗殺は始まりにすぎぬ」

「次の手が来る」


その時──

廊下から足音が響いた。


「将軍様!」


伝令が駆け込む。

「京で騒ぎが……!」


光秀は息を呑んだ。

義昭は微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ