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殺人の救世主  作者: おじさん
とある殺人鬼が生まれた理由と少女の話
78/102

3-4

「それで? 藤吉郎。俺達をここに閉じ込めた理由は?」


先程の問答で知り合いだということが判明している。


しかし私達はこの人によって今牢屋に閉じ込められている。


何か理由があるのか、それともただの気紛れだったのか。


「私は信蔵様が来るのを待っていたのですよ。あの日からずっと…」


「あの日…? 陽が、ここを出ていった日、のこと…?」


「えぇ。そして信蔵様が初めて人を殺し、最凶の殺人鬼が生まれた日でもあります」


陽が人を殺して殺人鬼になってしまった日。その日からずっと秀吉さんは陽のことを待っていた。


確か10年は経っていると聞いた。相当長い期間待っていたことになる。


「…昔話はいい。理由を言え」


「いい機会じゃないですか。まだこのお嬢さんに信蔵様の過去を聞かせていないのでしょう?」


確かに私は陽のことは全然知らない。会ってまだたったの1ヶ月しか経っていないのだから。


しかし、それが悔しいとも思わない。


「別に、いい…。陽が、話したい時で、いいの」


私だって、自分のこと何も話していない。


それを第三者から聞かされるのは、ちょっと嫌だった。


「…ほう。本当によく出来たお嬢さんですね。信蔵様には勿体無い」


「ほっとけ。…だが、確かにいい機会だ。夏生に俺の全てを話そう」


陽の顔は決意をした顔だった。人に過去を話すのはとても勇気がいることだ。


話したくない過去というのは、思い出したくない過去だ。


辛いし、苦しいし、悲しくなる。だから人には話せない。


「…うん。私も、陽の全てを、知りたい…」


だから私は、自分の正直な気持ちを言葉にした。


彼が意を決して話す、と言ったのだ。それを蔑ろにする訳にはいかない。


それに…やっぱり彼のことは何でも知っておきたかった、というのもある。


「…天然ですね」


「あぁ、天然だ。怖いよな」


…言ってることはよく分からないけど、私のことを言ってるのは分かる。


「取り敢えず、藤吉郎。お前は席外してくれ」


「…承知致しました。見張りも無くさせましょう」


私以外には聞かせない。そのやり取りはそれだけのことだった。


秀吉さんも素直に応じる。陽の意図を理解してのことだ。


「さて、どこから話そうかな…。面倒だから全部話すか」


「…全部、聞く」


そして彼は、ゆっくりと話始めた。

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