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殺人の救世主  作者: おじさん
とある少女と殺人鬼の話
61/102

2-23

役人が、陽に斬られその場に倒れ臥したその瞬間のことだった。


扉が突如として開き、発砲音が聞こえた。


それに気づいた陽はすぐさま頭を狙った弾を回避する。


私と陽との距離が離れすぐに陽のところへ駆け寄ろうとしたとき、急に首が苦しくなった。


着物の首根っこを誰かに掴まれている。足が地面から離れ、浮遊感に襲われる。


首だけ後ろにひねると、そこには知っている顔があった。


「…やっぱり来たか」


「ありがとうございます、殺していただいて。本当に助かりました」


そこにはついさっきまで一緒にいた、本城光敏の顔があった。


左手で私の首根っこを掴み、右手には短刀を持っている。


その短刀を私の首に突き付ける。…あれ、どうしてこんなことに…。


そして陽が一瞬にして村人数名に囲まれる。普段の陽ならそんなことにはならないが、今回は事情が違った。


私の首に突き付けた短刀のせいで、陽は下手に動けない。


「そして、あなたにも死んでもらいます。『人斬りシンゾウ』さん」


何故だ。どうしてこんなことになった。


陽は、この村を苦しめていた役人を殺した。それは感謝されることであり、間違ってもこんな状況になるなんてあり得ない。


だが、現に私は殺されかけている。陽だって武器を持った村人に囲まれている。


まさか最初からこれが狙いで…。でも本城さんは嘘は吐いていないと陽が言っていたのに…。


「…陽…!!」


俯いてしまっている彼の名前を呼ぶ。


警戒はしていたはずだった。陽はあらゆる想定をしていたはずだった。


…私が捕まったせいで、こうなっている。


刀を握ったまま、俯いている彼を見て私は怖くなる。


このままじゃ、陽が殺されてしまう…!!


「見事に引っ掛かってくれましたね。幼子を連れているのも好都合でした」


私のせいで…私のせいで…!!


泣きそうになっていると、彼が顔を不意に上げた。


その顔は悲観してるでもなく、絶望しているでもなく。


「…くくくくくく、あっはははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!」


彼は、その場に不似合いな笑い声を上げ、心底楽しそうな顔をしていた。

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