2-22
さて、大きなお家に突入したのだが…。
「…ちょ、襲ってくるから思わず斬っちゃったじゃん…。峰打ちとか苦手なんだって」
陽は既に3人を斬っていた。流石殺人鬼。手に迷いが全く無かった。
しかし、殺すまでとはいかず動けなくしているだけだった。
「…止め、刺さないの…?」
「あくまで依頼は役人だけだからな。こいつらが悪いことしてるわけじゃないし」
陽なら問答無用で殺しそうだったが、彼にも彼なりの考えがあるらしい。
やっぱりただの人殺しではなかった。きちんと悪人と善人の区別はついている。
ま、確実に殺しにきてたし殺ってもよかったんだけど、と彼は付け足した。
叫び声を聞いて、ある男がその場に駆け付ける。
村の人間とは明らかに違う服装をした、少々太めの男だった。
その男は陽を見て、顔面蒼白になる。
気持ちは分からないでもない。今の陽はいつもの優しい陽ではなく、『人斬りシンゾウ』なのだから。
「な、な、殺人鬼が、この僕に何の用だ!? 僕を殺しにきたのか!?」
「…まぁ、一応。その前に聞きたいことがある」
陽はすぐには斬りかからない。刀はその男に真っ直ぐに突き立て、いつでも殺せる準備はしてあるが。
「この村を支配してるのはお前だな? …お前はこの村で何をした? 嘘偽りはいらない。問答無用で殺す。」
「ひっ…!! …馬鹿な村人共から年貢や物を巻き上げてるだけだ!! 僕はこの村を好きにしていいと『あの人』に言われた!! それの何が悪い!?」
「…なるほどね。あいつの差し金か。…本当に吐き気がする」
陽には役人が言っていた『あの人』が分かるようだった。
それに対して相当の嫌悪感があるようで、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「殺さないでくれ! 僕を殺したらどうなるか…僕を殺したらの」
役人の言葉はそこで途切れた。
「…それ以上喋るな。お前は生きる価値すらない」
言うまでもなく、陽が刀を喉に突き刺したからだ。
息が漏れる音が聞こえる。あれ、相当痛いと思う。
「…がっ…!! 黙っ…ごふっ…!!」
何か喋ろうとしているが、多分もうまともには喋れない。
「…恨むなら、あのクソ野郎を恨みな」
陽が、役人さんを斬り裂いたのはその直後だった。




