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殺人の救世主  作者: おじさん
とある少女と殺人鬼の話
60/102

2-22

さて、大きなお家に突入したのだが…。


「…ちょ、襲ってくるから思わず斬っちゃったじゃん…。峰打ちとか苦手なんだって」


陽は既に3人を斬っていた。流石殺人鬼。手に迷いが全く無かった。


しかし、殺すまでとはいかず動けなくしているだけだった。


「…止め、刺さないの…?」


「あくまで依頼は役人だけだからな。こいつらが悪いことしてるわけじゃないし」


陽なら問答無用で殺しそうだったが、彼にも彼なりの考えがあるらしい。


やっぱりただの人殺しではなかった。きちんと悪人と善人の区別はついている。


ま、確実に殺しにきてたし殺ってもよかったんだけど、と彼は付け足した。


叫び声を聞いて、ある男がその場に駆け付ける。


村の人間とは明らかに違う服装をした、少々太めの男だった。


その男は陽を見て、顔面蒼白になる。


気持ちは分からないでもない。今の陽はいつもの優しい陽ではなく、『人斬りシンゾウ』なのだから。


「な、な、殺人鬼が、この僕に何の用だ!? 僕を殺しにきたのか!?」


「…まぁ、一応。その前に聞きたいことがある」


陽はすぐには斬りかからない。刀はその男に真っ直ぐに突き立て、いつでも殺せる準備はしてあるが。


「この村を支配してるのはお前だな? …お前はこの村で何をした? 嘘偽りはいらない。問答無用で殺す。」


「ひっ…!! …馬鹿な村人共から年貢や物を巻き上げてるだけだ!! 僕はこの村を好きにしていいと『あの人』に言われた!! それの何が悪い!?」


「…なるほどね。あいつの差し金か。…本当に吐き気がする」


陽には役人が言っていた『あの人』が分かるようだった。


それに対して相当の嫌悪感があるようで、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。


「殺さないでくれ! 僕を殺したらどうなるか…僕を殺したらの」


役人の言葉はそこで途切れた。


「…それ以上喋るな。お前は生きる価値すらない」


言うまでもなく、陽が刀を喉に突き刺したからだ。


息が漏れる音が聞こえる。あれ、相当痛いと思う。


「…がっ…!! 黙っ…ごふっ…!!」


何か喋ろうとしているが、多分もうまともには喋れない。


「…恨むなら、あのクソ野郎を恨みな」


陽が、役人さんを斬り裂いたのはその直後だった。

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