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殺人の救世主  作者: おじさん
とある少女と殺人鬼の話
59/102

2-21

「村の裏口から案内します。村の人間には伝えてあるので、あなたに怯えることはないでしょう」


「…あぁ、頼む」


今回はいつもの格好のまま村に入るらしい。


村の大きさは普通くらい。この間行った村より一回り小さいくらいか。


村に入ると、やけに大きな建物が私の目に入ってきた。


明らかに他の家より豪華で、たくさんお金を使ってそうだった。


「あの、お家にいるの、かな…?」


「だろうな。偉ぶってる奴ほど無駄に大きな家に住みたがる」


村の様子を見ればすぐに分かる。やっぱりこの村には活気が感じられない。


それほどまでにあそこに住んでる役人さんは酷い人なのだろうか。


殺してくれ、と言われるまでどうして自分が悪いことしてると理解できないのだろう。


「…自分を偉いと思ってる人間ってのは、悪いことしてることにすら気付いてないのさ」


私の表情から言いたいことを悟ったのか、陽がそう言う。


…なるほど。悪いことをしている自覚がない。自分は正しいと思っている。だから、言われる、…いや、殺されるまで分からない。


悪意の無い悪意が一番怖いのだと、陽は前に言っていたな。


これはまさにそういうことなのか。


「…どうして、分からないんだろうね…」


「さぁな。俺みたいな人間には分からないよ。悪いことを正当化しようとする気持ちなんてな」


その言葉は、役人さんに向けて言った言葉だと思うのに。


どうしてか私には、他の誰かに言っているように聞こえた。


「…ここです。私達は外で待っていますので…」


やっぱりあの大きなお家の前まで案内をされた。


この中にいる人を陽が殺す。


「絶対に、入ってくるなよ」


今日の陽はやけに冷たい。まるで何かに嫌気が差しているかのように。


「私も、中に入る…?」


陽が殺しをするとき、大体私は待っていることの方が多い。


なのに、今日は。


「…いや、夏生も来い。俺の後ろから離れないでくれ」


「…分かった」


陽から、来いと言うのは初めてだった。


…何か嫌な予感でもするのだろうか。

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