2-24
その場にいた全員が陽のその行動に驚く。私も例外ではなかった。
今まで陽がこんな笑い声を上げたことがあっただろうか。
未だに笑い声は途切れない。狂ったように笑い続ける彼に、私を除く全員が怯んでいる。
「はははははは!!! 面白い!! 面白いよ、お前ら!!」
この状況を面白いと言っている彼の顔は本当に楽しそうだった。
それこそ、…昨日遊んだ時とかと比べ物にならないほど。
「な…、何故この状況で笑っていられるんだ…!?」
私を殺そうとしている本城さんすら、疑問を隠しきれない。
当然だ、私だって分からないのだから。
今にも殺されてもおかしくない。そんな状況で笑える人間なんて普通じゃない。
「あの役人に困ってたのは本当のことだろ? それは分かってた。だからこそ、俺はお前らの依頼に乗った」
笑顔のまま陽は話し始める。こんなに楽しそうに喋る陽は初めて見た気がする。
「裏に目的があるのも分かっていたよ。多分俺を殺そうとしていたこともな。俺はお前らを返り討ちにする予定だった」
だからこそ、陽は嫌気が差していたのか。自分が狙われていたことに気付いていたから。
そういいえば、本城さんはあの時…
「『私達』は外で待っていますので…」
あの場には本城さんしかいなかったはずなのに。それに彼は気付いていた。
だからこそ、彼は私をあの場に『残さなかった』。
「夏生を人質にされまいと連れてきたが…まさか火縄銃なんて貴重なもの持ってるなんてな。予想外だったよ…!!」
また楽しそうに笑い始める。陽にとっての予想外。それがあったからこそ、私は今捕まっている。
「この俺が出し抜かれるなんてな…!! なかなかいい経験をさせてもらったよ…! お前らは邪魔な役人を自分達の手を使わずに排除できる。そして、大義名分の下、殺人鬼である俺を殺せば俺の首にかけられた金も手に入る…。実に合理的な作戦だ。面白い!!」
素直に称賛している陽を見て、私は確信する。
…やっぱり陽はただの人殺しじゃない、と…。




