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「何が、いいかな…」
名前を付ける、と言ったわりには全く考えていなかった。
この人は殺人鬼だけど、優しくて、少しだけ繊細なとこがあって…。
まだ会って数時間だけど、彼のことは大体分かってきた。
そんな彼にぴったりの名前…。
そう考えてると、私の頭上で私を照らしているものがあることに気付く。
「…あれ、あの、上で光ってるのは、何て言うの…?」
私はそれを指差す。彼は私の疑問に少し不思議な顔をしたが、すぐに答えてくれた。
「あれは太陽だな。それがどうかしたのか?」
太陽…。頭上で輝くあの眩しいものは太陽というらしい。
なら、きっとこの名前しかないだろう。
「…陽、なんてどう…?」
「陽…? どうしてそんな明るい名前を…」
私の彼への印象を当てはめるとしたらその名前しか思い付かなかった。
何も面白くなかった私の人生に差し込んだ一つの光。
死にかけていた私を助けてくれた、救世主にぴったりな、そんな名前。
「私にとって、あなたは太陽なの…。あなたはとっても眩しくて、私に光を与えてくれた。…だから、陽」
それに呼びやすいし、と付け足して言おうと思ったが、言わなかった。
いや、言えなかったというのが正しいか。
「…んな大層な名前、俺には勿体ない…と言いたいとこだけど。…そこまで言われたらなぁ。それでいいよ」
彼がとっても嬉しそうだったから。
およそ殺人鬼などには見えない、笑顔を見て、私もとても嬉しかった。
「笑顔、とても素敵。もっと笑っていてほしい」
「笑顔なんて、いつ以来だろうな。…お前のおかげだよ、夏生」
私も嬉しいよ、といった意味で私も久しぶりの笑顔を彼に向けた。
だが、彼は目を反らしてしまった。
…変、だっただろうか。それなら申し訳ないことをしたな。
「よろしくね、陽」
「お、おう…。よろしく頼む…」
何はともあれ、私は彼と共に行くことに決めたのだ。
これからどうなるかは分からないけど。
きっと、大丈夫だと、私は思う。




