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殺人の救世主  作者: おじさん
とある殺人鬼と少女の話
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1-4

「…私の名前、教えた。あなたの名前は?」


彼の名前をまだ知らない。


世間に出回っている名前は勿論知っているが、それは彼の呼び名であって名前ではない。


私は彼の本名が知りたかった。


「俺の名前…ねぇ。名前なんてとうの昔に捨てちまったよ」


そう言って彼は遠い目をする。


その目は、今まで見たどの目よりももの悲しげであった。


「名前、捨てちゃったの? どうして?」


「嬢ちゃん…いや、夏生には分からんさ。所謂、大人の事情ってやつかな」


理由は教えてはくれなかったが、そこには相当重いものがあるように感じた。


でも、やはり名前が無いのは不便だし私は教えたのに不公平だ。


「じゃあ、私が、名前つけてあげる。あなたの新しい、名前」


「えっ?」


彼は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしている。


自分の発言はそんなにおかしかっただろうか。


「…だから、私があなたの名前を、つけるの」


「俺に、名前を? …そんなもん俺には勿体ないわな。」


彼は困ったように笑う。


自分みたいな殺人鬼に名前なんて勿体ない…。


彼の顔はそう語っていた。


「嫌、なの…? 名前無いと、何て呼んでいいか分からない。」


「…確かに。そりゃ困るわ。…しゃーない。適当に付けてくれ。…今まで呼んでくれる相手もいなかったもんでな」


最後は少し小声になっていたが、私にはばっちり聞こえていた。


こういう側面を見る度、やっぱりこの人の側にいたいとますます思ってしまう自分がいる。

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