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殺人の救世主  作者: おじさん
とある殺人鬼と少女の話
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「お帰り、なさい…!!」


思わず抱きついてしまう。返り血がたくさん付いていたけど、そんなの別に関係無かった。


「ちょ、汚いから止めろって!! …ただいま、夏生。」


陽は私の頭をさっきみたいに撫でてくれる。とっても落ち着く…。


「ひっ…殺人鬼…!?」


「あー、ついに知られちゃったか」


少し棒読み気味なのは気のせいだろうか。


「この人殺し!! 今だって人を殺してきたんだろ!!??」


「あぁ。ここからちょっと離れた場所で山賊を29人ほど」


29人…そんな人数を相手していたのか。


それで怪我の一つも負っていない。本当に人間か疑わしいと思ったのは言わないでおこう。


「山賊を…? まさか村を襲おうとしてたのか…?」


「さぁ? 俺には分からん。俺は人殺しがしたかっただけだ」


これも本音だろう。陽には過程が大事なのであって、結果は別に気にするものでもなかった。


今回は、泊まった村を襲おうとした賊を斬りたかっただけ。


村を救う、という事より彼には賊を殺すという事が大事だったということだ。


結果的に村を救う形になった。私も嬉しい、陽も目的達成。何も問題など無い。


「なぁ、勘太郎。何かを憎むってのは『こうなる』ってことなんだ。…お前にその覚悟はあるのか?」


陽が殺すついでにしたかった事。それは勘太郎君に現実を知ってもらうこと。


まだ復讐の念に囚われている、両親の死を受け入れきれてない勘太郎君に。


だからこそ、わざと気付かせた。


「…何なんだよ…。人殺しの癖に…どうしてそんなに説得力があるんだよ…」


「人殺しだからだ。…こうなりたくないんだったら、早く大人になりな」


そう言って陽は勘太郎君に背を向ける。


何でだろう、さっきの言葉…。


昔の彼に言っているような、そんな気がしたのは気のせいだろうか。


「…あんたは何が憎かったんだよ!? どうしてそうなっちゃったんだよ!?」


「…さぁ、何だろうな。…行くぞ、夏生」


突き放すような発言も、どうしてか彼らしかった。


「うん…」


陽の手を握って、私も歩き出す。


ふと後ろを振り向くと俯いている勘太郎君がまだ見えた。


きっと彼もいつか気付く。世界はいつだって不条理なのだと。


少し悲しそうな顔をしている陽の顔の方をまた見て、私はそう思った。

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