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殺人の救世主  作者: おじさん
とある殺人鬼と少女の話
23/102

1-22

「夏生、落ち着け。俺は大丈夫だから」


頭に昇りかけていた血は、彼の言葉で逆流する。


そうだ、落ち着け。ここで激昂しても何の意味もない。


「ということは、その子は…」


「…はい。夏生はあの村の唯一の生存者です。俺が保護しなければ、きっと…」


間違いなく、ここにはいないだろうと言い切れる自信がある。


陽が来てくれなければ…考えるだけで滅入ってくる。


「なるほど…。うちの孫が失礼なことを言ってしまい申し訳ない。どうお詫びしてよいやら…」


「じいちゃん!! そいつらを信用するってのか!? 正気かよ!?」


「いえ、子供の言ったことですから。きっと彼なりに村を守ろうとしたんだと思いますよ」


おぉ…大人の対応だ…。でも、目が笑ってない。怖い。


それにしても、勘太郎といっただろうか。どうしてそんなに『怯えて』いるのだろうか。


「…陽、絶対に危害くわえないから…。安心、して?」


私の方から彼に歩み寄ってみる。近寄ったのは私だけなのに、まだ少し警戒をしている。


「そんなもん…信じられるか!! 余所者は皆この村の敵だ!!」


「大丈夫、だから…。怖くない、よ…。信じるのは、無理かもしれないけど…疑うのはやめてほしい、な…」


信じるのが無理でも、疑うのはやめてくれ。


自分でも無茶苦茶なことを言っていると思う。


だけど、私の信じた人を疑われるのは少し…嫌だった。


「ぐ…。う、五月蝿い五月蝿い!!! 俺は絶対に認めないからな!!」


「あっ… 」


こちらを見ながら、村の奥の方へと走り去る。


…火に油を注いでしまっただろうか。喋るのはどうも苦手だ。

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