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「夏生、落ち着け。俺は大丈夫だから」
頭に昇りかけていた血は、彼の言葉で逆流する。
そうだ、落ち着け。ここで激昂しても何の意味もない。
「ということは、その子は…」
「…はい。夏生はあの村の唯一の生存者です。俺が保護しなければ、きっと…」
間違いなく、ここにはいないだろうと言い切れる自信がある。
陽が来てくれなければ…考えるだけで滅入ってくる。
「なるほど…。うちの孫が失礼なことを言ってしまい申し訳ない。どうお詫びしてよいやら…」
「じいちゃん!! そいつらを信用するってのか!? 正気かよ!?」
「いえ、子供の言ったことですから。きっと彼なりに村を守ろうとしたんだと思いますよ」
おぉ…大人の対応だ…。でも、目が笑ってない。怖い。
それにしても、勘太郎といっただろうか。どうしてそんなに『怯えて』いるのだろうか。
「…陽、絶対に危害くわえないから…。安心、して?」
私の方から彼に歩み寄ってみる。近寄ったのは私だけなのに、まだ少し警戒をしている。
「そんなもん…信じられるか!! 余所者は皆この村の敵だ!!」
「大丈夫、だから…。怖くない、よ…。信じるのは、無理かもしれないけど…疑うのはやめてほしい、な…」
信じるのが無理でも、疑うのはやめてくれ。
自分でも無茶苦茶なことを言っていると思う。
だけど、私の信じた人を疑われるのは少し…嫌だった。
「ぐ…。う、五月蝿い五月蝿い!!! 俺は絶対に認めないからな!!」
「あっ… 」
こちらを見ながら、村の奥の方へと走り去る。
…火に油を注いでしまっただろうか。喋るのはどうも苦手だ。




