第8話 最強の魔王軍設立!
「まずは俺のステータスが……」
特に何かをしたわけでもないのに、目の前にステータス画面が浮かび上がった。
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【ステータス】
・名前:アルター
・種族:人間
・レベル:4
【能力値】
・筋力:D
・体力:E
・魔力:■ [ロック中]
【固有スキル】
・『改造』Lv.3
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「それなりに運動は頑張ってきたのに、たったこれだけなのかよ!?」
目の前の文字をもう一度確認した。
筋力はD、体力はE。
どう見ても大した数値ではない。転生したんだから何か特別な補正でもあるかと思っていたが、そういうものは期待できないらしい。
「それより、魔力が表示されないのはなんでだ? 条件を満たしていないのか?」
まあ、いいか。
「『改造』」
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【固有スキル『改造』】
・対象:アルター Lv.4(人間)
【能力値】
・筋力:D
・体力:E
・魔力:■ [ロック中]
※対象の能力値はレベルに応じて調整できます
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「レベルに応じて、か。どこまで上げられるんだ?」
俺はステータス画面に手を伸ばした。
すると、筋力と体力を示す文字が揺らぎ、かすかに薄くなった。
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【固有スキル『改造』】
・対象:アルター Lv.4(人間)
【能力値】
・筋力:D → C-
・体力:E → C-
・魔力:■ [ロック中]
※対象の能力値はレベルに応じて調整できます
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「今のところ、これが限界なのか?」
自分のレベルも上げなきゃいけないし、『改造』のレベルも上げなきゃいけない。なかなか忙しいな。
「プニ。お前も改造してやるよ」
「わあ!」
「『改造』」
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【固有スキル『改造』】
・対象:プニ Lv.1(スライム)
【能力値】
・筋力:□
・体力:A
・魔力:F- [ロック中]
・その他 [展開]
※対象の能力値は使用者の能力値を上回ることができません
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『俺の能力値を上回ることはできない』か。
「変えてください! 変えてください!」
プニは嬉しそうにぴょんぴょん跳ねた。
「そんなに期待するなよ。いくら上げても、俺より高くはできないんだからな」
どれどれ……。
「その他は、今まで変えてきた外見や魔物ごとの固有特性ってところか」
一覧を眺めていると、ふと首を傾げた。
筋力はそもそも存在しないのか?
それよりも。
「なんで俺より体力が高いんだよ! スライムのくせに!!」
俺の体力はEなのに、プニはAだった。
いったい何を基準にしているんだ。どう考えても納得できない。
……いや、部下が強いというのは、魔王として喜ぶべきことなんだろう。
結局、プニには特に変えてやれるものがなかった。
「とにかく……これで能力値の調整もできたし、そろそろ本格的に魔王軍を作ってみるか」
「プニ、お前には魔王軍の幹部として、これから頑張ってもらうぞ」
「お任せください!」
こうして、俺たちは狩りに出かけた。
目標は魔物の狩猟と改造。
魔王軍の戦力を確保するための、第一回訓練である。
「よし、プニ! あいつを捕まえろ!」
「はい! 魔王様!」
プニが体を膨らませ、茂みへと飛び込んだ。
魔物が逃げ出すよりも早く、ねばつく体が覆いかぶさった。魔物は必死にもがいたが、無駄だった。
「見事だ! さすが俺の部下だな!」
捕まえた魔物を改造し、また次の獲物を探しに行った。
そうして一匹捕まえ、また一匹捕まえた。
日が沈み、森に闇が降りてきても、俺たちの狩りは終わらなかった。
魔物を捕まえ、改造し、また狩りに出る。
ただそれだけの単純作業だったが、成果は確実に出ていた。
≪ピロン! レベルが上がりました≫
Lv.4 → Lv.5
「おお!」
≪ピロン! スキルレベルが上がりました≫
『改造』Lv.3 → Lv.4
「よし!」
夜が深まるにつれ、通知音は何度も鳴り響いた。
≪ピロン! レベルが上がりました≫
Lv.5 → Lv.6
≪ピロン! スキルレベルが上がりました≫
『改造』Lv.4 → Lv.5
魔物の種類を変えながら改造を繰り返すことで新たな経験が積み重なり、俺とプニのレベルも着実に上がっていった。
いったい何度狩りを繰り返しただろうか。
いつの間にか、空が白み始めていた。
「ふぅ……これくらいで十分だろう」
俺は最後にステータス画面を確認した。
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【ステータス】
・名前:アルター
・種族:人間
・レベル:10
【固有スキル】
・『改造』Lv.9
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「……よし」
一晩中狩りを続けた甲斐があった。
そして、ついに完成した……!
「最強の魔王軍! ……の基礎が!」
「魔王様! すごいです!」
プニが元気よく答えた。
……そうだ。まだ基礎にすぎない。
だが、何事も始めることが肝心だというじゃないか。
何より、もう俺一人じゃない。頼もしい部下たちがいるんだからな。
「さて、まずは自己紹介でもしてもらおうか」
俺は集まった魔物たちを見回した。
一晩かけて集めた戦力だ。どいつもこいつも個性豊かな連中ばかりだった。
「まずはお前だ」
最初に指さしたのは、狼型の魔物だった。
もともとは犬と呼んでもいいくらい人懐っこい奴だった。人間を見ても尻尾を振りながら近寄ってくるほどだったからな。
だが、魔王軍に必要なのはペットではない。
そこで好戦性を限界まで引き上げた。
その結果。
「グルルルル!!」
狼は俺に向かって牙を剥いた。
……あれ?
「プニ、あいつは今なんて言ってるんだ?」
「えっと……『お前を殺す』って言ってます」
「……」
思った以上に効果が出ているな。
「これからお前のことはウルフォと呼ぶことにする」
「グルルルル!」
「今度はなんて?」
「えっと……『お前を殺す』だそうです」
「……次だ」
聞かなかったことにして、視線を移した。
次に指さしたのは、人間ほどの大きさがある巨大なキノコだった。
丸い傘の下には顔があり、胴体の両脇からは短い腕が突き出している。
魔物の知能には、上げられる限界がある。その中でも最も高い上限を持っていたのが、このキノコだった。
試しに知能を限界まで引き上げてみたところ……。
「初めまして」
言葉まで話せるようになった。
「おお! なかなかやるじゃないか! 自己紹介してくれるか?」
「自己紹介しなければ分からないとは、インテリジェントではありませんね。魔王になろうという者が魔物の特徴も特性も理解していないとは。こんな無能で間抜けな人間を主君と仰ぎ、命を捧げるなど馬鹿げた行為だと思います。我々も……」
「……」
何やら延々と喋っていたが、聞かなかったことにした。
「うーん、お前はマッシュと呼ぶことにしよう。次」
俺はさっさと次の部下に視線を移した。
今度は、かなり大きな岩のような姿をしたゴーレムだった。
おそらく、一番役に立ってくれる奴だろう。
硬度と防御力を限界まで高めたので、魔王軍の盾役にはうってつけだった。
「よし、自己紹介してみろ」
「え……あの……ぼ、僕は……その……えっと……」
「……」
「ぼ、僕は……えっと……ゴーレム……その……」
言葉を発することさえ難しそうだった。
すると、プニが口を挟んだ。
「魔王様! これは常識ですけど、ゴーレムは気が弱いほど硬くなるんですよ!」
「……は?」
まさか。
気が弱いから硬いんじゃなくて、硬くなったせいで、さらに気が弱くなったってことか?
体の防御力だけじゃなかった。
社会的防御力まで上がったのかよ!!
いわゆる。
コミュ障だ。
「そうか……とりあえず、お前のことはゴーラムと呼ぶことにしよう」
「そ、その……えっと……」
名前をつけてやるだけで、あんなに緊張するとは。
……本当に大丈夫なんだろうか。
「さて、これでひとまず終わりにして……」
「私もいますよ!」
「……」
声がした方へ顔を向けた。
そこには、手のひらほどの大きさの何かがふわふわと浮かんでいた。
丸くて小さな体に短い手足。全体的にころころとした姿は、まるで人形のようだった。体の周りには淡い光の粒が舞っている。
「……お前、いつからそこにいたんだ?」
「最初からです!」
「……」
3秒ほど見つめてから、視線をそらした。
「どこまで話したっけ?」
「私もいるんですってば!」
ああ、そうだった。
こいつもいたな。
ほかの魔物と違って、こいつには幸運という能力値があった。
面白半分で一度改造してみたものの、特に変化はなかった。だからそのまま放っておいたのだが……いつの間にか俺たちについてきていた。
「とにかく!」
俺は手を叩いて、全員の注目を集めた。
「今日の朝、あの太陽が完全に昇ったら村を襲撃する!」
「あなたのような頼りない男に従うのはあまり気が進みませんが、知性ある魔物として協力してあげましょう」
「そ、その……えっと……」
「グルルルル!!!」
「『お前を殺す』だそうです」
「俺だって分かってるよ!!!」
この魔王軍……本当に大丈夫なのか?
「私もいますよ!!」




